研究課題/領域番号 |
22K06569
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47020:薬系分析および物理化学関連
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
佐久間 信至 摂南大学, 薬学部, 教授 (80388644)
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研究分担者 |
八木 晴也 摂南大学, 薬学部, 助教 (20965206)
鵜川 真実 摂南大学, 薬学部, 助教 (50735511)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 膜透過ペプチド固定化高分子 / 膜透過ペプチド / バイオ医薬 / 経粘膜吸収促進 / 非侵襲的投与製剤 / 経口腔ルート |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者は、膜透過ペプチドのオリゴアルギニンを側鎖に固定化した新規高分子を創製し、同高分子を用いたバイオ医薬の経粘膜デリバリー技術の開発を目指している。生分解性のオリゴアルギニン固定化ヒアルロン酸及び非分解性のオリゴアルギニン固定化ビニルポリマーは、経鼻あるいは経肺ルートでバイオ医薬の吸収性を改善することが既に実証されている。本研究では、利便性の優れる投与ルートの口腔~消化器系に着目し、本技術の実用化の可能性を見極める。将来的に、患者による投薬管理が可能で、患者にやさしいバイオ医薬の非侵襲的投与製剤の開発を構想する。
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研究実績の概要 |
研究代表者は、膜透過ペプチドのオリゴアルギニンを側鎖に固定化した新規高分子を創製し、同高分子を用いたバイオ医薬(ペプチド、タンパク質、抗体、遺伝子等)の経粘膜デリバリー技術の開発を目指している。生分解性のオリゴアルギニン固定化ヒアルロン酸及び非分解性のオリゴアルギニン固定化ビニルポリマーは、経鼻あるいは経肺ルートでバイオ医薬の吸収性を改善することが既に実証されている。本研究では、利便性の優れる投与ルートの口腔~消化器系に着目し、本技術の実用化の可能性を見極める。助成初年度(2022年度)に見出されたD-オクタアルギニン固定化ビニルポリマーの口腔粘膜からの吸収促進効果に関して、経口フィルム/ゼリー剤の設計を念頭に入れた検討を継続した。セルロース系の高分子性製剤添加物の場合、吸収促進効果を減弱させることが明らかとなっていたことから、乳糖等、低分子性製剤添加物を用いて検討した。製剤化に成功し、動物実験を実施したところ、固体状態での口腔内投与では吸収促進効果が確認されなかった。投与前に水に溶解して口腔内投与すると従来通りの吸収促進効果が確認されたことから、口腔内水分量の影響を受ける可能性が示された。さらに、アルギニン鎖長がD-オクタアルギニン固定化ビニルポリマーと同じテトラグリシン-L-オクタアルギニン固定化ヒアルロン酸の口腔粘膜からの吸収促進効果を検討した。その結果、同ビニルポリマーの吸収促進効果が得られる上限分子量は約100 kDaであったのに対して(2022年度に確認)、同ヒアルロン酸誘導体は分子量20 kDaまで効果を示したものの50 kDaになると効果は消失した。経鼻、経肺投与時の両者の吸収促進効果は同等であったことから、分子量が特に大きい場合、口腔粘膜組織の構造や分泌物によりテトラグリシン-L-オクタアルギニン固定化ヒアルロン酸による効果が抑制されたと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、利便性の優れる投与ルートの口腔~消化器系に着目し、本技術の実用化の可能性を見極めることを目的としている。現在、最も利便性の優れる投与ルートである経口投与時の吸収促進効果の検討を進めており、D-オクタアルギニン固定化ビニルポリマーは分子量1.0 kDa程度のバイオ医薬の経口吸収性を促進することを確認している。一方、分子量5.0 kDa程度になるとその効果は消失することも確認している。研究最終年度は、経口吸収性の検討を継続し、消化管各部位からの吸収促進効果や促進機構等を精査するとともに、前年度から継続している吸収促進効果に及ぼす口腔内環境(唾液、ムチン、酵素)の影響も検討する。
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今後の研究の推進方策 |
本科研費申請時の計画通りに研究は進んでおり、今後も当初計画に則って研究を推進する。
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