研究課題/領域番号 |
22K06583
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
永沼 達郎 北海道大学, 薬学研究院, 助教 (60779619)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 皮膚炎 / セラミド / リピドミクス / アトピー性皮膚炎 / 脂質代謝 / 皮膚 |
研究開始時の研究の概要 |
アトピー性皮膚炎や角化症などの皮膚疾患では様々な脂質代謝異常が認められており,疾患の発症や悪化との関連が疑われている。脂質代謝を是正することが皮膚疾患の治療戦略の一つとなる可能性があるが,そのためには脂質代謝異常が引き起こされるメカニズムを究明する必要がある。本研究では,皮膚炎や角化症の発症に伴う脂質代謝異常を質量分析装置を用いて解析し,なぜその異常が生じるのかを酵素比活性レベルで明らかにする。さらに,酵素比活性が変化するメカニズムを分子レベルで追究する。
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研究実績の概要 |
皮膚に存在する多様な脂質分子は,それらの組成や代謝バランスが適切に制御されることで皮膚の機能を巧みに制御している。本研究では,皮膚炎の病態依存的にどのような脂質組成の異常が,どのようなメカニズムで生じ,どのような表現型に寄与するのかを解明することを目的としている。 本年度は,アトピー性皮膚炎モデルマウスSpadeにおいて,セラミドNSがセラミドNDSと同様に皮膚炎抑制効果を示すか検証を進めることで,皮膚炎抑制効果の構造活性相関を調べた。その結果,セラミドNSはSpadeの皮膚炎発症を遅延させ,炎症性サイトカインの発現を抑制した。また,ケラチノサイトの分化マーカーの異常を是正した。以上より,Spadeにおける皮膚炎抑制効果にセラミドの構造特異性は認められなかった。 また,他の皮膚炎モデルとして,TLR7アゴニストであるイミキモドを連続塗布することで乾癬様皮膚炎を誘導するモデルマウスを用いて,Spadeと同様に表現型解析と脂質組成解析を行った。その結果,乾癬モデルでは,皮膚バリア機能に特に重要なセラミドクラスであるアシルセラミドEOSが病態初期から低下することが明らかとなった。培養不死化ケラチノサイトに対するTLR7アゴニスト処理によっても,in vivoと同様にアシルセラミドEOSレベルが低下することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アトピー性皮膚炎モデルSpadeにおいて,皮膚炎抑制効果に対するセラミドの構造依存性を評価することができた。 また,他の皮膚炎モデルの表現型と脂質組成の継時変化を明らかにし,アシルセラミドEOSが特徴的に減少することを明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
乾癬モデルにおいてアシルセラミドEOSのレベルが低下する分子メカニズムを明らかにするため,in vivoおよびin vitroにおける各種脂質代謝酵素の発現量をRT-PCRにより解析する。同時に,アシルセラミドEOSの合成に関わる酵素の酵素活性を評価するために,重水素標識された脂質標準品を用いたラベルトレーサー実験を行う。 また,さらに新たな皮膚炎モデルとして,MC903を連続塗布することでアトピー様皮膚炎を誘導することができるモデルマウスを用いて同様の解析を行い,各種皮膚炎モデルに特徴的あるいは共通するセラミド代謝異常や,それを引き起こす分子メカニズムの究明を進める。
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