研究課題/領域番号 |
22K06587
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 星薬科大学 |
研究代表者 |
東 伸昭 星薬科大学, 薬学部, 教授 (40302616)
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研究分担者 |
小宮根 真弓 自治医科大学, 医学部, 教授 (00282632)
福澤 薫 (秋葉薫) 大阪大学, 大学院薬学研究科, 教授 (50718244)
眞鍋 史乃 星薬科大学, 薬学部, 教授 (60300901)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | アトピー性皮膚炎 / ヘパラナーゼ / 酵素阻害剤 / ヒアルロン酸 / へパリン / 抗体複合体 / 融合タンパク質 / ターゲッティング / 酵素阻害物質 / コンドロイチン硫酸 / 皮膚疾患 / 糖鎖創薬 / 阻害剤 / フラグメント分子軌道法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではヘパラナーゼの発現亢進を伴う炎症性皮膚疾患の緩和への応用を意図し、その機能を抑制する新たな分子を創出する。①分子屈曲による特異性と静電的相互作用による高親和性の二要素を最適化した糖鎖由来阻害分子を創出する。②酵素活性を有さない競合分子ヘパラナーゼ2の発現増強機構を見出し、この模倣分子を創出する。③ヘパラナーゼの機能抑制によって基底膜と表皮構造の正常化や皮膚炎の抑制が個体レベルで可能であるのか、①と②で創出される阻害分子などの阻害物質をマウス皮膚炎モデルに適用し、炎症抑制効果を検証する。ヒト炎症性皮膚疾患におけるヘパラナーゼの作用を組織学的に検証する。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、研究課題初年度の論文(Int.J.Mol.Sci 23:5055, 2022)で報告した糖鎖のヘパラナーゼ阻害作用を創薬に展開するため、[1]特異性と高親和性の二要素を分子内に最適化した糖鎖由来阻害分子を創出する、[2]ヘパラナーゼの競合分子であるヘパラナーゼ2の発現や阻害効果を増強する方法を見出す、[3]ヘパラナーゼの機能抑制によって基底膜と表皮構造の正常化、皮膚炎の抑制が可能であるか見出す、の3点を目的とし、これらの成果を統合してゆく。 課題1では、阻害分子に細胞特異性を付与する一つの方法として、ヘパラナーゼ阻害効果を有する硫酸化糖鎖を抗体に結合させた分子の創出を試みた。抗体のヒンジ部分のシステインを介したリンカー形成により、蛍光標識された硫酸化糖鎖と抗体分子を連結させた。抗体1分子あたり2本の糖鎖が結合することを確認した。分子量約1万以上の分子量の糖鎖を結合させた場合、もとの抗体が有する抗原分子への結合能が低下したことから、糖鎖による認識部位の遮蔽効果が予想された。分子量1万程度のヘパリンの場合、抗体の抗原分子への結合能、抗体に結合した糖鎖のヘパラナーゼ阻害活性はともに維持されていた。課題2では、ヘパラナーゼ2、およびそのFc融合タンパク質を大量生産するためのシグナルペプチドの検討を行った。未だ十分な産生量に達しておらず、引き続き検討が必要である。課題3では、表皮の肥厚、発赤、痂皮の出現と、引っ掻き行動の増加を伴うアトピー性皮膚炎動物モデルを確立することができた。また炎症部位に特徴的な炎症性サイトカインの発現増強を確認した。阻害剤の最適化と阻害剤投与方法について現在検討中である。一方、ヒト組織で、ヘパラナーゼの標的となる糖鎖構造が表皮、真皮に分布することを組織学的手法で確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究申請書時点の課題のうち、課題1の糖鎖由来阻害分子の供給の部分の進行が遅れている。構造最適化された阻害剤の候補分子の調製がまもなく完了する予定である。ヘパラナーゼ2の発現量増強のための新しい方策、動物モデルにおける効果的な阻害剤の投与方法について試行錯誤が続いており、これらの進行も遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
課題1~3を通じて、ヘパラナーゼ阻害物質を最適化しこれを疾患治療へ適用してゆく。課題1では、構造最適化された阻害剤の候補分子を試験するとともに、抗体・糖鎖複合体の調整と最適化、皮膚浸透性をあたえる両親媒性の付与、などを検討したい。課題2では、ヘパラナーゼ2の高発現株の作製に引き続き取り組む。タンパク質発現系についても広く取り組む。課題3では、阻害剤投与方法の最適化が鍵となると考えている。基本的に親水性である阻害物質の物性を変化させるとともに、ヘパラナーゼの標的となり得る、ヘパラナーゼの基質糖鎖を発現する構造を特に皮膚で同定し、これらの標的部位にふさわしい投与方法を構築してゆきたい。
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