研究課題/領域番号 |
22K06588
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 武蔵野大学 |
研究代表者 |
田中 健一郎 武蔵野大学, 薬学部, 講師 (30555777)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | メタロチオネイン / 大気汚染 / PM2.5 / 酸化ストレス / 肺傷害 / 予防法 |
研究開始時の研究の概要 |
PM2.5などの大気汚染物質は、酸化ストレスを介した肺胞上皮細胞傷害や炎症反応を惹起することにより肺傷害を誘発する。また、大気汚染がCOVID-19などの他の呼吸器疾患を増悪させることも問題となっているため、予防法の確立が急務である。一方、メタロチオネイン (MT)は有害金属の解毒作用や抗酸化作用を有するタンパク質であるが、大気汚染肺傷害に対する有効性は明らかになっていない。そこで、研究代表者は、①大気汚染肺傷害に対するMTの有効性を解明する、②MTが有効性を発揮する分子機構を解明する、③新たなMT誘導剤を探索し、大気汚染肺傷害の予防に繋げるという3つの目的の達成を目指して研究を実施する。
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研究実績の概要 |
本研究は、世界中で拡大する大気汚染による健康被害の予防法確立を目指して、メタロチオネイン (MT)の機能解析を実施する事を目的に実施している。大気中に存在するPM2.5などの大気汚染物質は、酸化ストレスを介した肺胞上皮細胞傷害や炎症反応を惹起することにより肺傷害を誘発する。しかしながら、その予防法は確立されていない。一方、MTは有害金属の解毒作用や抗酸化作用を有する生体防御タンパク質であるが、これまでに大気汚染肺傷害に対する有効性は明らかになっていない。そこで、本研究では、①大気汚染肺傷害に対するMTの有効性を解明する、②有効性を発揮する分子機構を解明する、③新たなMT誘導剤を探索し、大気汚染肺傷害の予防法を提唱するという3つの目的達成を目指して研究を開始した。今年度は、MT欠損マウス、及びその野生型マウスを用いて、大気汚染肺傷害を比較し、MT欠損マウスでは大気汚染肺傷害(研究代表者が確立したモデル)が増悪する事を見出した。また、in vivo imaging systemを用いた解析から、MT欠損マウスでは、大気汚染依存の活性酸素産生が顕著に亢進している事を見出した。また、MT誘導作用を持つ事が既知の化合物(以下、化合物A)を用いて、大気汚染肺傷害に対する有効性を解析した結果、化合物Aの前投与により、大気汚染肺傷害が顕著に抑制される事を見出した。以上の結果から、MTが大気汚染肺傷害に対して、抗酸化作用を介した保護作用を示す事を示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画は当初の予定通り、順調に進展していると考えている。具体的には、MT欠損マウス、及び野生型マウスでの大気汚染肺傷害の比較実験、及びMT誘導作用を持つ化合物(化合物A)の大気汚染肺傷害に対する有効性解析が完了している。また、2023年度にはMTが有効性を発揮する分子機構の解析を実施する予定であるが、上述の解析が順調に進行したため、in vivoの予備検討を開始する事が既にできている。また、分子機構解析に必要な細胞実験系の予備検討も開始している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの報告から、大気汚染が他の呼吸器疾患 (COPD、COVID-19など)を増悪させることも大きな問題となっている。そこで、大気粉塵の前処置により他のストレスによる急性肺傷害が増悪するモデルを用いて、MTの有効性を解析する。また、MT誘導作用を持つ化合物(化合物A)の抗酸化作用については、in vivo imaging systemを用いた解析を実施する。また、PM2.5が好中球炎症を促進する事や直接的に肺胞上皮細胞に傷害作用を示す事が報告されている。さらに、線維芽細胞の活性化を誘発し、コラーゲンなどの線維化関連因子の発現を増加させる事も報告されている。そこで、MTが大気汚染肺傷害を抑制する分子機構として、酸化ストレス依存の好中球炎症、肺胞上皮細胞傷害、線維芽細胞の活性化に着目し、in vivo、及びin vitro実験系を用いた解析を実施したいと考えている。
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