研究課題/領域番号 |
22K06590
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
長澤 一樹 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (30228001)
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研究分担者 |
森戸 克弥 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (10878333)
村木 優一 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (50571452)
高山 健太郎 京都薬科大学, 薬学部, 准教授 (70611482)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | うつ様所見 / ストレス感受性 / 抗がん剤 / 腸内細菌 / ATPシグナリング / アストロサイト / うつ病 / ストレス |
研究開始時の研究の概要 |
がん化学療法施行患者におけるうつ病の発症は深刻な問題である。抗がん剤はうつ病の誘発要因とされる脳での神経新生を抑制することから、その発症リスクを高めると予測されるが、それに関する報告はない。本研究課題は、起炎性を含む薬動力学的特性の異なった抗がん剤によるうつ様所見誘発性ストレスに対するマウスの感受性の変化を行動学的・神経科学的に明らかにし、その得られた基礎的知見を基に抗がん剤のうつ病誘発リスクを保険請求情報データベースを用いて検証し、そのリスクの薬学的管理のための基盤構築を目的とする。
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研究実績の概要 |
昨年度までの成果に基づき、オキサリプラチン及びそのリポソーム製剤投与マウスに対して21日間の軽度予測不能ストレスを負荷したところ、いずれの投与によっても強制水泳試験における無動時間が延長したが、後者の場合のみ有意な変化であった。一方、オープンフィールド試験において不安様行動の誘発はいずれの投与によっても認められなかった。腸内細菌叢の変化を調べたところ、リポソーム製剤化オキサリプラチンの投与によってのみ、ストレス負荷群で増大したストレス感受性に関わる菌種が更に増大した。これらのことから、オキサリプラチンのリポソーム製剤化は、マウスの腸内細菌叢を変化させることでストレス感受性を増大させる可能性が示された。また、マウスへの負荷が大きいとされる強制水泳試験に代わるうつ様行動の評価系として、新たに巣作り試験法を確立した。 また、うつ様所見の一つである味感受性の変化をマウスにおいて定量的に評価するためのbrief access testを確立し、味覚障害を誘発することが報告されているドキソルビシンの甘味感受性の変化とその分子機構について検討した。ドキソルビシン投与マウスは甘味感受性が低下するものの、有郭乳頭における甘味受容体およびシグナル伝達分子であるα-gustducinの発現量が増大することが示された。 さらに、社会敗北ストレス負荷したマウスの脳におけるATPシグナリング関連分子の発現変動を単離・精製アストロサイトで検討した結果、いくつかのATP放出チャネル及びATP代謝酵素の発現変動が、マウスの社会性と相関することを見出し、現在、論文投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでにマウスのうつ様所見誘発性ストレスの感受性の制御に関わる腸内細菌叢並びにストレス誘発性社会性の低下に関与する分子の候補を見出しており、論文化も進んでいる。また、味覚感受性の評価系を確立し、抗がん剤による味覚障害についても検証を進められた。 これらことから、概ね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
軽度予測不能ストレス負荷マウスにおける知見を基に、マウスへのストレス負荷がより強い社会敗北ストレスを用いてうつ様所見、腸内細菌叢の変化などを検討することで、これまでに見出した知見の普遍性を検証する。また、抗がん剤投与に加え、ストレス負荷したマウスにおける味感受性についても評価を進める予定である。
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