研究課題/領域番号 |
22K06600
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
田中 大 東北医科薬科大学, 薬学部, 助教 (00613449)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | プロテインノックダウン / Aspergillus fumigatus / ガラクトフラノース / オーキシンデグロン / アスペルギルス / 細胞壁多糖 / 蛍光染色 |
研究開始時の研究の概要 |
真菌症は、潜在患者数が数億人にものぼる世界的疾患であり、免疫抑制治療や臓器移植技術の発展に伴ってその脅威はさらに増加傾向にある。近年、抗真菌薬への耐性真菌が世界的に出現していることも併せれば、現行抗真菌薬の薬理メカニズムをより一層理解すること、かつ新たな薬剤やその標的を探索していくことは、いずれも重要である。本研究が成立した暁には、現行の抗真菌薬が病原真菌に効くメカニズムを詳細に明らかにするだけでなく、未知薬剤標的の阻害効果を「薬を使わずに」試すことができるだろう。
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研究実績の概要 |
令和5年度は、これまでに用意してきたオーキシンデグロン・プロテインノックダウンのコンポーネントをさらに改良し、Aspergillus fumigatus生体内で効率的なプロテインノックダウンを誘導できる技術を整備するとともに、細胞壁構造構築関連遺伝子のプロテインノックダウンが可能な菌株ラインナップをさらに拡充した。UDP-グルコース:ガラクトースエピメラーゼをコードするuge5のゲノム領域にコドン最適化したmini-AID配列を挿入した株(uge5-AID株)を用いて種々の基礎的検討(オーキシンアナログ濃度、暴露時間、継続時間など)を実施し、低濃度かつ高効率に、速やかなプロテインノックダウンを誘導できることを確かめた。またuge5-AID株を用いて細胞壁構造の量的・質的変化解析の予備検討を行っており、実施予定であった実験(NMR、GC-MS、蛍光顕微鏡、ハイコンテントアナライザなど)が概ね適用可能であることを確かめた。その過程で、uge5-AID株のプロテインノックダウンによっても細胞壁ガラクトフラノース多糖の量的変化、質的変化が72時間程度までほとんど見られないことを突き止めた。これは、Aspergillus fumigatusのガラクトフラノース糖鎖が細胞内からの供給が止まった後でも比較的安定に存在し続けることを示しており、ガラクトフラノシダーゼなど糖質加水分解酵素との相互作用を考えるうえで重要な示唆になると思われる。uge5-AID株で得られた成果は、令和6年度中に論文や学会にて発表していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度は、Aspergillus fumigatus向けにプロモーター改変ならびにコドン最適化したTIR1変異体発現ベクターを作製し、十分なタンパク質発現と高効率なオーキシンデグロン-プロテインノックダウンをAspergillus fumigatus生体内で誘導できる実験系を確立した。UDP-ガラクトースムターゼ遺伝子glfAのゲノム下流にmini-AID配列を挿入した株は前年度までに既に得られていたが、今年度はさらにUDP-グルコース:ガラクトースエピメラーゼ遺伝子uge5、βグルカン合成酵素遺伝子fks1、コアマンナン合成酵素遺伝子cmsAなどにAID配列を挿入した株を作製し、十分なプロテインノックダウンを誘導できることを確かめた。令和5年度終了時点ではuge5プロテインノックダウン株の解析が最も進んでおり、プロテインノックダウン誘導に必要なオーキシンアナログ濃度、時間、シクロヘキシミドチェイスとの比較などの基礎的な検討のほか、細胞壁ガラクトフラノース糖鎖の経時的量的変化の追跡や菌糸生育、胞子形成などフェノタイプ解析を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、これまでに得られたオーキシンデグロン誘導株、特にglfA、uge5株を用いて、ターゲットタンパク質の速やかなプロテインノックダウンが細胞壁構造構築に与える影響を解析する。オーキシンアナログ濃度依存性、時間依存性に変化する細胞壁ガラクトマンナンや細胞壁グルカンの量的な変化をウエスタンブロット解析や生化学的解析にて、また質的な変化をGC-MSやNMRにて捉える。この後オーキシンアナログを含む培地から含まない培地へと交換する実験も計画しており、ターゲットタンパク質がノックダウンから回復する時間、ならびに細胞壁多糖の回復に要する時間とのズレを測定する。これにより、細胞壁構造構築に関わる酵素それぞれの活性を生細胞中で捉えることができるのではないかと考えている。
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