• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

超解像顕微鏡による受容体型チロシンキナーゼの脂質ドメイン解析

研究課題

研究課題/領域番号 22K06609
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

阿部 充宏  国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (90415068)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
キーワード受容体型チロシンキナーゼ / EGFR / 脂質ラフト / ホスファチジルイノシトール4,5-ビスリン酸 / 超解像顕微鏡 / 一分子イメージング / 脂質ドメイン / 細胞膜
研究開始時の研究の概要

(i) 上皮成長因子受容体 (EGFR) と脂質との超解像解析,(ii) 脂質によるEGFRの活性制御機構の解析,(iii) EGFR以外の受容体型チロシンキナーゼと脂質との解析を行うことで,受容体型チロシンキナーゼが脂質ラフトに局在するか,受容体型チロシンキナーゼが脂質ラフト中の脂質によって活性制御されるか,を明らかにしたい。

研究実績の概要

昨年度は、固定した細胞を超解像顕微鏡で観察した結果、上皮成長因子(EGF)刺激前には上皮成長因子受容体(EGFR)がホスファチジルイノシトール4,5-ビスリン酸(PI(4,5)P2)のナノドメインと一部共局在するが、EGF刺激後には共局在率が低下することを見いだした。
本年度は、まず生きた細胞を一分子イメージングで解析した結果、上記の現象は生きた細胞でも起こることが確認された。EGFRとPI(4,5)P2が刺激前に共局在する生理的意義について調べるために、PI(4,5)P2のホスファターゼを細胞内で発現することにより細胞膜中のPI(4,5)P2含量を減少させた。その結果、減少させた細胞では、EGF刺激後のEGFRの二量体化および自己リン酸化が抑制されることがわかった。このことから、EGFRとPI(4,5)P2がEGF刺激前に共局在するのは、EGF刺激直後にEGFRの二量体化および自己リン酸化を促進する意義があることが示唆された。
PI(4,5)P2はEGF刺激後に、EGFRの下流因子であるホスホリパーゼC(PLC)γによって別の脂質に変換される。PLCγ活性をノックダウンにより低下させると、上記で見られたEGF刺激後のEGFRとPI(4,5)P2との共局在率の低下は見られないことがわかった。このことから、PLCγに依存して共局在率が低下することがわかった。EGF刺激後にEGFRが活性化された後、Thr654がリン酸化されることでEGFRは不活性化される。PLCγの活性を低下させた細胞では、EGFRが活性化された後のThr654のリン酸化が抑制されることがわかった。したがって、EGF刺激後のEGFR周囲のPI(4,5)P2の速やかな分解は、EGFRが活性化された後の不活性化を誘導していることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

一分子イメージングや生化学的解析など、トラブルがなく計測できている。おおむね研究計画通りに進んでいる。

今後の研究の推進方策

今年度は、EGFに結合したEGFR分子周囲の局所的なPI(4,5)P2密度の調節は、EGFRの活性制御およびシグナル伝達において重要な役割を果たすことを明らかにした。今回見いだした現象が、ほかの受容体型チロシンキナーゼでも起こりうるのかを解明したい。
昨年度までに、EGFR以外の受容体型チロシンキナーゼについて、ヒトのcDNAから50種類以上をクローニングが終わっている。クローニングした受容体型チロシンキナーゼを用いて、超解像顕微鏡による受容体型チロシンキナーゼと脂質ドメインの共局在解析、生きた細胞の一分子イメージング、脂質分子を減少させた細胞における受容体型チロシンキナーゼの二量体化と自己リン酸化の評価、などを行う予定である。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] TRPV4-dependent Ca2+ influx determines cholesterol dynamics at the plasma membrane2024

    • 著者名/発表者名
      Kuwashima Yutaro、Yanagawa Masataka、Maekawa Masashi、Abe Mitsuhiro、Sako Yasushi、Arita Makoto
    • 雑誌名

      Biophysical Journal

      巻: 123 号: 7 ページ: 867-884

    • DOI

      10.1016/j.bpj.2024.02.030

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 可視化することでわかってきた細胞膜のスフィンゴミエリンの動態と分布2022

    • 著者名/発表者名
      阿部 充宏
    • 雑誌名

      生化学

      巻: 94 号: 5 ページ: 735-738

    • DOI

      10.14952/SEIKAGAKU.2022.940735

    • ISSN
      0037-1017
    • 年月日
      2022-10-25
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] Sphingomyelin localization in the intestinal crypt surface2022

    • 著者名/発表者名
      Ueda Yoshibumi、Abe Mitsuhiro、Ishiwata Toshiyuki、Ozawa Takeaki
    • 雑誌名

      Biochemical and Biophysical Research Communications

      巻: 611 ページ: 14-18

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2022.03.128

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] EGFR分子周囲の局所的な脂質分子の時空間的動態解析2023

    • 著者名/発表者名
      阿部 充宏, 柳川 正隆, 佐甲 靖志
    • 学会等名
      第46回 日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 細胞膜スフィンゴミエリンの脂質二重層内移動に関わる因子の同定2022

    • 著者名/発表者名
      阿部充宏
    • 学会等名
      第45回日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 細胞膜におけるスフィンゴミエリンの分布を規定している因子2022

    • 著者名/発表者名
      阿部充宏
    • 学会等名
      第15回セラミド研究会学術集会・ 第16回スフィンゴテラピィ研究会 合同年会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi