研究課題/領域番号 |
22K06619
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
|
研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
林 康広 宮崎大学, 農学部, 准教授 (70582857)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | SARS-CoV-2 / 4-HPR / ジヒドロセラミドデサチュラーゼ |
研究開始時の研究の概要 |
私達は4-HPR が SARS-CoV-2 感染を抑制することを発見した (Hayashi et al., Journal of Virology, 2021)。細胞膜の流動性の解析より、4-HPR で処理した細胞では膜の流動性が低下することから、4-HPR が宿主細胞の膜流動性の低下を引き起こすことでウイルス感染を抑制することが示唆された。
|
研究実績の概要 |
私達はウイルスと宿主細胞の膜融合を安全かつ迅速に測定できるCell-Cell fusionアッセイを用いて新型コロナウイルスSARS-CoV-2 感染を抑制する脂質代謝酵素の阻害剤をスクリーニングした。その結果、脂質代謝酵素ジヒドロセラミドデサチュラーゼ (DEGS1)の阻害剤 N-(4Hydroxyphenyl)retinamide (4-HPR、別名フェンレチニド) が SARS-CoV-2 のスパイクタンパク質を介した膜融合を抑制することを見出した (Hayashi et al., Journal of Virology, 2021)。 令和5年度は、4-HPRによるSARS-CoV-2感染の抑制メカニズムをさらに明らかにした。光退色後蛍光回復法 (FRAP: Fluorescence Recovery After Photobleaching) を用いた細胞膜流動性解析を行った。CHO-K1細胞に対して、細胞膜を蛍光標識できるGPI-HaloTagタンパク質、あるいはウイルスと結合する受容体である ACE2 の GFP 融合タンパク質を一過性に遺伝子発現させた。次に、4-HPR処理による膜流動性の変化を計測した。その結果、4-HPR処理細胞において有意な膜流動性の低下を確認した。また4-HPRによる、スパイクタンパク質を介した細胞膜融合の抑制は、ビタミンE (トコフェロール) で解除できることを見出していたことから、トコフェロールを4-HPR処理細胞に添加しFRAP計測を行ったところ、未処理細胞と同等のレベルまで膜流動性が回復した。以上のことから、4-HPRは活性酸素の産生を介して細胞膜の流動性低下を惹起することで、SARS-CoV-2感染の抑制を促していることを明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度の目標であった4-HPRによるSARS-CoV-2感染の抑制機構を明らかにしたため。
|
今後の研究の推進方策 |
SARS-CoV-2感染を抑制する化合物を引き続き探索し、シード化合物を発見する。
|