研究課題/領域番号 |
22K06620
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
|
研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
岩本 淳一 東京医科大学, 医学部, 教授 (10384950)
|
研究分担者 |
本多 彰 東京医科大学, 医学部, 教授 (10468639)
宮崎 照雄 東京医科大学, 医学部, 准教授 (60532687)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | アスピリン / サリチル酸(SA) / 小腸粘膜障害 / 低用量アスピリン |
研究開始時の研究の概要 |
アセチルサリチル酸は培養液中または小腸上皮細胞のエステラーゼでサリチル酸に変換する可能性があるため、培養液中サリチル酸の定量も行う。①胆汁酸ヒト化マウスへのアスピリン投与は通常マウスより強い小腸粘膜障害を起こすか、②小腸の腸内細菌叢は粘膜障害の程度に関与するか、を明らかにする。胆汁酸のうち大腸に排出されるものは5%程度なので、血清胆汁酸に非抱合型分画が多い患者は、小腸内で腸内細菌が増殖していると考えられる。胆汁酸組成と共にこの抱合率を見ることによって、小腸内の環境を評価する。
|
研究実績の概要 |
令和4年度は,異なるpH (4, 7, 9)条件下や,ラットの肝組織と小腸由来細胞株(IEC-6),マウス盲腸内容物の各ホモジネート液やブタ膵臓リパーゼと共に,ASAを試験管内でインキュベーションし,脱アセチル化率をLC-MS/MS装置を用いて評価した.また,IEC-6培養細胞をASA曝露下で培養し,細胞内のSA/ASA比と細胞傷害度(MTT assay)の関係を検証した.各種条件下でASAをインキュベーションした結果,pHによる脱アセチル化率の違いや,膵リパーゼによる脱アセチル化は無かった.一方,ラット肝とIEC-6のホモジネート液内では,ASAの脱アセチル化が顕著に進み,煮沸(酵素失活)処理やエステラーゼ阻害剤であるフッ化カリウム(KF)の添加により脱アセチル化が有意に抑制された.また,盲腸内容物とのインキュベーションでも,時間依存的に脱アセチル化が有意に進行し,煮沸処理やKF添加によりキャンセルされた.さらにIEC-6培養細胞の生存率は,ASAの添加量に伴う細胞内SA量の増加に依存して有意に低下した.ASAの脱アセチル化によるSA生成は,pHや膵リパーゼの影響は少なく,腸内細菌や小腸上皮細胞が持つエステラーゼによって引き起こされると考えられた.腸溶性アスピリンによる小腸粘膜傷害は,小腸内で産生されたSAによる直接作用である可能性が強く示唆された.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基礎実験で,ASAの脱アセチル化によるSA生成が生じる各種条件の検討ができ,SAによる直接作用によって小腸粘膜傷害が起こる可能性が検証できたため。
|
今後の研究の推進方策 |
令和5年は、アスピリンの各種胆汁酸の相互作用を検討すヒト型胆汁酸マウスを用いてアスピリンによる腸内細菌叢を比較やLDA内服者から血清胆汁酸の採取や、カプセル内視鏡を実施し内視鏡所見を収集を行う予定である。
|