研究課題/領域番号 |
22K06624
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
長谷川 顕子 (山路顕子) 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 専任研究員 (20332314)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 生理活性脂質 / 脂質解析プローブ / ガン / セラミド1リン酸 / 炎症 |
研究開始時の研究の概要 |
新規生理活性脂質セラミド1リン酸は生体内では極微量成分であり、代謝や局在の情報も少ないことから、その生理機能発現の分子機構はほとんど明らかになっていない。本研究ではまず、セラミド1リン酸を特異的に検出できる解析プローブを開発する。次にそれを用いて、生体試料中のセラミド1リン酸を生化学的・細胞生物学的に解析する。特に、膵臓腺ガン細胞や好中球に着目した解析を行うことにより、ガンの増悪や炎症反応などの病態におけるセラミド1リン酸の作用機序の解明を目指す。
|
研究実績の概要 |
新規生理活性脂質セラミド1リン酸は、炎症反応・細胞増殖・ガンの増悪などへの関与の可能性が指摘されているが、生体内では極微量成分であり、代謝や局在の情報も少ないことなどから、その生理機能発現の分子機構はほとんど明らかになっていない。本研究では、セラミド1リン酸を特異的に検出できる解析プローブを開発し、それを用いてセラミド1リン酸の細胞内動態や共局在分子の解析を行う。これにより、ガンの増悪や炎症反応などの病態におけるセラミド1リン酸の作用機序の解明を目指す。 昨年度までに、ある脂質代謝関連酵素がセラミド1リン酸特異的結合活性を持つこと、そのうちの一部領域(M1)が結合を担うことを見出し、蛍光タグを付加したM1リコンビナント蛋白質を作製して、様々な細胞株について細胞染色を行ってきた。 本年度は、細胞染色時に観察されるドット状の染色像について、その数や分布に影響を与えるような薬剤処理や培養条件などを膵臓腺ガン細胞株を用いて見出した。これらの処理は、細胞におけるセラミド1リン酸含有小胞の形成・移動・放出などに影響を及ぼしていると推測され、来年度以降にその詳細な機構を解析していく予定である。 さらに本年度、細胞内に蛍光標識M1を発現させる実験系を確立し、細胞染色時に観察されるドット像と一致することを確認した。また、超解像顕微鏡を用いて生細胞を経時観察する実験系も確立した。来年度以降は、膵臓腺ガン細胞株に蛍光標識M1を発現させて、セラミド1リン酸含有小胞の動態を生細胞で観察するとともに、薬剤の影響なども解析する。 これらの解析により、セラミド1リン酸の生理機能および病態との関連を明らかにしていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
リコンビナント蛋白質による細胞染色や細胞で発現させた蛍光標識プローブの観察など、細胞生物学的解析については、手法の確立および今後の解析につながる実験結果が得られている。一方、セラミド1リン酸含有小胞を回収して生化学的に解析する実験については、量的に難点があり遅れているので、ひと工夫必要である。
|
今後の研究の推進方策 |
蛍光標識プローブで検出されるドット像は、セラミド1リン酸含有小胞を反映していると考えられるので、生細胞および薬剤処理などの各種培養条件を施した細胞を超解像顕微鏡で観察することにより、セラミド1リン酸含有小胞の形成・輸送・放出の機構を時間的・空間的に解析する。これらの結果は、AI画像解析ソフトを用いて定量解析する予定である。また、細胞内のセラミド1リン酸含有小胞を増加させる培養条件を見出したうえで、プローブを用いて小胞を回収し、そこに含まれる蛋白質や脂質の網羅的解析を行う。これらの実験により、セラミド1リン酸の相互作用分子や細胞内分布の制御機構を明らかにし、この生理活性脂質の機能や病態への作用機序の情報を得る。
|