研究課題/領域番号 |
22K06625
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
染谷 雄一 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 室長 (50283809)
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研究分担者 |
平野 順紀 大阪大学, 微生物病研究所, 特任助教(常勤) (50899101)
林 豪士 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 主任研究官 (80824648)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | SARS-CoV-2 / プロテアーゼ / 阻害剤 / FlipGFP |
研究開始時の研究の概要 |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)制圧に向けて、有効な治療薬の開発は、これまでの流れを大きく変えるゲームチェンジャーとなり得る。 本研究では、SARS-CoV-2のプロテアーゼをターゲットとしたFlipGFPレポーターシステム およびハイコンテントイメージングシステム(Operetta CLS)を駆使して、西洋薬および生薬ライブラリーから裕興亜プロテアーゼ阻害剤の探索を行う。特に、漢方薬に用いられる生薬を探索リソースとしたSARS-CoV-2阻害剤研究の報告はまだ少なく、 本研究によりこれまでにないユニークで効果的な阻害物質が同定できると期待している。
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研究実績の概要 |
本年度は、SARS-CoV-2がコードするシステインプロテアーゼ(3CLpro)活性を簡便に測定できる系(FlipGFPレポーターシステム)を利用して、当該活性を阻害する低分子化合物を探索した。FDA承認薬ライブラリー(1200種)を用いてスクリーニングを実施したところ、薬剤未処理群と比較して、3CLpro活性の指標となるGFP陽性細胞数を90%以上減少させる化合物を50種以上見出した。これら化合物のSARS-CoV-2増殖阻害活性について、TMPRSS2発現Vero細胞を用いて評価したところ、少なくとも20種の化合物を処理した場合に、未処理群と比較して95%以上ウイルス増殖が抑制されていた。その中には、SARS-CoV-2感染阻害活性や3CLpro活性阻害活性が既に報告されている化合物が多く含まれていたことから、FlipGFPシステムの阻害薬探索系としての有用性が示唆された。また、特筆すべき点としてヒット化合物の中にはこれまでに報告がないものも含まれていた。さらに本年度は、FlipGFPを用いたプロテアーゼ活性評価系の汎用性・発展性を検討するため、SARS-CoV-2と同じくウイルス増殖がプロテアーゼに依存するエンテロウイルスにおいて類似系の樹立を試みた。その結果、幾つかのエンテロウイルス属(エンテロウイルスA71、D68など)がコードするプロテアーゼの活性を測定可能なFlipGFPシステムの構築に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた実験計画の通り、化合物スクリーニングによりSARS-CoV-2 3CLpro及び感染阻害活性を有する新規化合物候補を見出すことに成功したこと、およびFlipGFPシステムを用いて他のウイルス由来プロテアーゼ活性測定系の構築に成功したことから、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に見出したヒット化合物について、特にSARS-CoV-2感染阻害活性に関する論文報告のない5~10種程度の化合物に着目し、更なる解析(IC50の算出、in vitroにおけるSARS-CoV-2 3CLpro活性阻害効果の検討など)を行う予定である。また、新たに構築したエンテロウイルスプロテアーゼの活性測定系を用いて、ヒット化合物の阻害効果を検証する。ヒット化合物がエンテロウイルスのプロテアーゼ活性を阻害可能な場合には、当該化合物のエンテロウイルス感染阻害効果を評価する。これらの検討により、SARS-CoV-2やエンテロウイルスを含むプラス一本鎖RNAウイルスのプロテアーゼに広域に作用する阻害剤の同定を目指す。
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