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NLRP3インフラマソーム阻害作用を持つ天然物を活用した創薬研究への展開

研究課題

研究課題/領域番号 22K06627
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
研究機関富山県薬事総合研究開発センター

研究代表者

本田 裕恵  富山県薬事総合研究開発センター, その他部局等, 課長 (10463134)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワードNLRP3インフラマソーム / カンゾウ / Isoliquiritigenin
研究開始時の研究の概要

糖尿病や肥満等の生活習慣病は、慢性の持続性炎症が起こることで発症・進展することが明らかになっている。我々は以前に生薬甘草の成分イソリクイリチゲニン(ILG)が慢性炎症に関わるNLRP3インフラマソーム活性化を強く抑制し、糖尿病マウスの病態を改善することを見出した。また、ILGが非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)モデルマウスにおいて肝臓組織線維化を抑制することを示唆する知見を得ている。これらの成果を創薬研究に展開するため、本研究では、ILGのNLRP3インフラマソーム活性化阻害機序を明らかにし、NASHモデルに対するILGの抗線維化作用の機序を明らかすることに取り組む。

研究実績の概要

本研究では(1)Isoliquiritigenin(ILG)のNLRP3インフラマソーム活性化阻害機序を明らかにすること、(2)代謝障害関連脂肪肝炎(MASH(旧名称:NASH))モデルに対するILGの抗線維化作用の機序を明らかすること、を目的としている。
(1)に関しては、2022年度にILGの標的タンパク候補として絞り込んだリコンビナントタンパクを入手し、質量分析計を用いた解析によりILGとの共有結合を示唆するデータを得ている。このことに関連して、ILGのNLRP3インフラマソーム活性化抑制作用がシステインの添加、またはタンパクの結合部位と予想されたシステインを含むペプチドの添加により消失することを確認した。また、ILGをTHP-1細胞に振りかけた細胞溶解液においても同様のタンパクとの結合が認められるかを解析したが、結合を確認することはできなかった。さらに、最近NLRP3タンパクとの結合能力を有することが報告されているIKKβについて、別の系においてILGと結合することが報告されていたことから、ILGのNLRP3インフラマソームの活性化抑制効果にIKKβが関与しているかを確認することとした。その結果、NLRP3とIKKβとの結合は、これまでに確認しているILGの阻害ポイントよりも下流で起こっていることが推定された。
(2)に関しては、CDAHFD食を6週間摂餌させたMASHモデルマウスの肝臓においてインフラマソームの活性化が起こっていることを確認するため、肝臓組織をミンスしたものをex vivoにて培養し、その培養上清中に産生されるIL-1βの量を測定した。また、ILG混餌によってこれが抑制されていることを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ILGと標的タンパクが共有結合していることを示唆するデータを得ることができ、これを利用し、質量分析による標的タンパクの同定を行った。標的候補のリコンビナントタンパクとILGでは結合が確認できたものの、細胞溶解液を用いた解析ではその結合を認めることはできていない。しかしながら、今回Biotin化ILGを合成することができたことから、標的タンパク同定がスムーズに進むものと考える。
またMASHモデルマウスの解析では、モデルマウスの肝臓においてインフラマソームの活性化が起こっていることが確認でき、これがILG混餌によって抑制されることを明らかにした。

今後の研究の推進方策

1. ILGがNLRP3インフラマソーム活性化を阻害する分子機序の解明
今回、Biotin化ILGを入手できたことから、これをTHP-1細胞の溶解液と混合し、Avidin結合ビーズを用いてILGと結合するタンパクを取得し、以下のとおり解析を行う。①上記においてウェスタンブロッティングにおいて候補タンパクが検出された場合、ペプチドマッピングで結合部位を確認し、結合部位と予想される部位のアミノ酸置換体を発現する細胞を作製し、NLRP3インフラマソーム活性化への影響を調べる。②上記で候補タンパクが検出されない場合には、Biotin化ILGに結合するタンパクについて網羅的に質量分析を行う。
2. MASHモデルに対するILGの抗線維化作用の機序の解明
CDAHFD摂餌によって肝臓に動員される細胞の解析と、それらがILG混餌によりどのような影響を受けるかについて検討を行う。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2022 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Isoliquiritigenin inhibits <scp>NLRP3</scp> inflammasome activation with <scp>CAPS</scp> mutations by suppressing caspase‐1 activation and mutated <scp>NLRP3</scp> aggregation2024

    • 著者名/発表者名
      Usui‐Kawanishi Fumitake、Kani Koudai、Karasawa Tadayoshi、Honda Hiroe、Takayama Nobuyuki、Takahashi Masafumi、Takatsu Kiyoshi、Nagai Yoshinori
    • 雑誌名

      Genes to Cells

      巻: - 号: 5 ページ: 423-431

    • DOI

      10.1111/gtc.13108

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Roles of Macrophages in Advanced Liver Fibrosis, Identified Using a Newly Established Mouse Model of Diet-Induced Non-Alcoholic Steatohepatitis2022

    • 著者名/発表者名
      Tada Yuki、Kasai Kaichi、Makiuchi Nana、Igarashi Naoya、Kani Koudai、Takano Shun、Honda Hiroe、Yanagibashi Tsutomu、Watanabe Yasuharu、Usui-Kawanishi Fumitake、Furusawa Yukihiro、Ichimura-Shimizu Mayuko、Tabuchi Yoshiaki、Takatsu Kiyoshi、Tsuneyama Koichi、Nagai Yoshinori
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Sciences

      巻: 23 号: 21 ページ: 13251-13251

    • DOI

      10.3390/ijms232113251

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] イソリクイリチゲニンによる腸内細菌叢の変動を介したメタボリックシンドロームの改善2022

    • 著者名/発表者名
      石橋璃子, 古澤之裕, 本田裕恵, 渡邉康春, 藤坂志帆, 戸邉一之, 高津聖志, 栗原新, 田渕圭章, 長井良憲
    • 学会等名
      第43回日本炎症・再生医学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [備考] 富山県薬事総合研究開発センター

    • URL

      https://www.pref.toyama.jp/1285/kurashi/kenkou/iryou/1285/index.html

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書 2022 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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