研究課題/領域番号 |
22K06630
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47040:薬理学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
西山 和宏 九州大学, 薬学研究院, 講師 (60810116)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 超硫黄 / 腸管恒常性 / 腸心連関 |
研究開始時の研究の概要 |
我々の身体を構成するほとんどの臓器は還元状態にあり、その還元力を維持することが病態や老化の予防、健康長寿に重要であると考えられている。しかし、多臓器の還元力を体系的に制御する機構については全く研究されていない。生体内では、腸内が最も還元的な環境にあることが知られている。本研究では、RSSが腸内恒常性維持に必要な還元力の決定因子となるかどうか明らかにするとともに、腸由来RSSが心筋やマクロファージなど、他の還元性に富む細胞・組織の恒常性維持にも寄与しうるかどうか、還元力を基盤とする多臓器連関の新概念を提案することを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、超硫黄を介したシグナル伝達機構を明らかにし、超硫黄分子による多臓器間ネットワークの解明を目指している。本年度は、主に、①消化管内の超硫黄の病態生理学的意義の解明に関する実験を行った。超硫黄の消化管における生理学的役割を探索するために、CARS2ヘテロ欠損マウスおよび野生型マウスの糞便を用いて、腸内細菌叢を次世代シークエンサーにて解析した。数種類の腸内細菌がCARS2ヘテロ欠損マウスで変動が認められた。さらに、超硫黄の消化管における病態生理学的役割を探索するために、腸炎モデルとしてデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘発性大腸炎モデルを使用した。具体的には野生型マウスおよびCARS2ヘテロ欠損マウスに1.5% DSSを7日間飲水させ,7日間通常の飲水に戻すことで、腸炎モデルを作製した。体重増減、および血便、下痢を評価した。まず、DSS大腸炎モデルにおけるCARS2の発現変動をqPCR法を用いて解析したところ、DSS大腸炎時にはCARS2の発現量が減少することが明らかとなった。加えて、SSip1による超硫黄イメージングにおいても腸管の筋層において、超硫黄産生量が減少したことが明らかとなった。現在、CARS2ヘテロ欠損マウスと野生型マウスのDSS大腸炎による体重減少や血便の程度を解析中である。 腸管で吸収された超硫黄は肝臓で代謝・貯蔵され、血中を介して心臓に供給される可能性が考えられる。実際に、肝臓では超硫黄量が豊富であることも報告されている。そこで、肝臓における超硫黄産生酵素(CARS2やCSE,CBS)をアデノ随伴ベクター(AAV)にて過剰発現またはノックダウンすることで、肝臓からの超硫黄の供給を変化させる。現在はプラスミドの作成を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
消化管における超硫黄の生理的な役割が徐々に明らかにされつつあり、今後の計画の準備も進めているため。
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今後の研究の推進方策 |
超硫黄分子は普段摂取する食品や植物からも検出されている。しかしながら、どのような経路を介して生体内に取り込まれるか明らかになっていない。そこで、腸上皮細胞(Caco-2)を用いて、CRISPR-Cas9 sgRNAライブラリーを利用したスクリーニングを行い、超硫黄分子の取り込み機構を明らかにする。さらに、同定された取り込み因子(トランスポーター)のノックアウトマウスをiGONAD法(経卵管ゲノム編集)にて作成・解析することで、超硫黄取り込み機構の生理学的役割を解析する。
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