研究課題/領域番号 |
22K06632
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47040:薬理学関連
|
研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
細田 隆介 札幌医科大学, 医学部, 助教 (20749428)
|
研究分担者 |
岩原 直敏 札幌医科大学, 医学部, 助教 (00613085)
藤谷 直樹 札幌医科大学, 医学部, 講師 (10374191)
野島 伊世里 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (10827398)
久野 篤史 札幌医科大学, 医学部, 教授 (30468079)
山田 崇史 札幌医科大学, 保健医療学部, 准教授 (50583176)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | サルコペニア / SIRT1 / 老化 / オートファジー / 骨格筋 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究により蛋白アセチル化修飾の観点からサルコペニアの発症メカニズムを明らかとする。具体的には、①SIRT1活性低下に伴いアセチル化が増加する蛋白の同定、②アセチル化修飾による標的蛋白の活性・機能の変化、そして③慢性疾患モデルにおいても加齢と同様に蛋白アセチル化がサルコペニアに関与するか明らかにする。本研究により新しいサルコペニアの成因を明らかにして新規治療法の開発に直結する知見を得ることを目指す。
|
研究実績の概要 |
加齢に伴う筋萎縮と筋力低下で定義されるサルコペニアの予防は健康寿命の延伸に重要である。NAD+依存性脱アセチル化酵素であるSIRT1は標的蛋白を脱アセチル化して細胞のストレス耐性を高める。申請者は、老齢マウスではサルコペニアに伴いアセチル化蛋白が増加しており、これらはSIRT1活性化薬により抑制されること、そして骨格筋特異的SIRT1ノックアウトマウスはアセチル化蛋白の増加とサルコペニアを呈することを見出した。さらに、サルコペニアの機序として重要なIGF1/mTORC1活性の低下は老齢マウスや骨格筋特異的SIRT1ノックアウトマウスでは見られないのに対し、老齢マウスと骨格筋特異的SIRT1ノックアウトマウスの筋組織で共通のアセチル化蛋白の増加が見られた。従って加齢に伴うSIRT1活性低下による未知の標的蛋白のアセチル化亢進がサルコペニアに寄与する可能性を想起した。本研究の目的は、蛋白アセチル化修飾の観点からサルコペニアの発症機序を解明し、新しい治療法に結びつく知見を得ることである。本年度の研究において老齢マウス、SIRT1活性化薬レスベラトロールを投与した老齢マウス、および骨格筋特異的SIRT1ノックアウトマウスの前脛骨筋において、老化とSIRT1ノックアウトで共通して増加するアセチル化蛋白を網羅的に調べた。代謝経路に関与する蛋白が老化とSIRT1ノックアウトでアセチル化を受けており、その中でも、ミトコンドリアに関与する蛋白のアセチル化が見られた。マウスの骨格筋から単離したミトコンドリアの細胞内フラックスアッセイをおこなったところ、加齢とSIRT1MKOの骨格筋ではミトコンドリアの呼吸能の低下が見られた。結果としてミトコンドリアの蛋白が老化とSIRT1ノックアウトでアセチル化を受ける可能性とサルコペニアの発症に関与することが考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
老化とSIRT1ノックアウトマウスの骨格筋でミトコンドリアの蛋白がアセチル化制御を受けていることを見出した。一方で、候補蛋白のアセチル化模倣変異体の発現系の構築が完了していないため、現在までの進行状況はやや遅れていると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度の研究で、ミトコンドリアの蛋白が老化とSIRT1ノックアウトでアセチル化を受けることが示された。今後、候補蛋白のアセチル化を受けるリジン残基をグルタミンに置換したアセチル化模倣変異体の発現系を作成する。そしてC2C12筋管細胞を用いて、候補蛋白のノックダウンやアセチル化模倣変異体の発現により筋線維萎縮が起きるか確認をおこなう。一方で、ミトコンドリア蛋白はSIRT1ではなくSIRT3によってアセチル化を制御されていることが知られてる。そのため、加齢によるサルコペニアの発症にSIRT1だけでなくSIRT3も何らかの形で作用していることも考慮して研究を推進する。
|