研究課題/領域番号 |
22K06637
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47040:薬理学関連
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
宇和田 淳介 金沢医科大学, 医学部, 講師 (70580314)
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研究分担者 |
村松 郁延 金沢医科大学, 医学部, 客員教授 (10111965)
中澤 瞳 金沢医科大学, 医学部, 研究員 (20712300)
益岡 尚由 金沢医科大学, 医学部, 教授 (80509307)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ムスカリン受容体 / GPCR / トランスポーター / アセチルコリンセンサー / 循環置換GFP / Gタンパク質共役型受容体 / acetylcholine |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、ムスカリンM1受容体をベースとしたアセチルコリンセンサーを開発して細胞表面と細胞内でアセチルコリン応答を検出する系を開発すると同時に、アセチルコリンを細胞内へ輸送するトランスポーターを探索する。この両輪の結果として、培養細胞によるin vitroでの細胞内コリン伝達系の再現、そしてマウスを用いた生体レベルでの実証を目指す。
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研究実績の概要 |
これまでに研究代表者はアセチルコリンをリガンドとするムスカリンM1受容体が細胞の内部にも局在し、活性化されうることを明らかにしている。この研究では、細胞の内部でムスカリンM1受容体が活性化される様子を直接的に検出する系を確立し、そのメカニズムの全容に迫る目的で行われた。細胞内で活性化されることを検出するためにM1受容体に循環置換GFPを導入し、活性化に伴う蛍光の増加を観察するセンサーとした。昨年までに、細胞内に局在する受容体を活性化するために必要とされるアセチルコリンのトランスポーターの同定に成功している。今年度は、このトランスポーターのマウス脳組織における発現をin situ hybridizationで検出した。その結果、トランスポーターの発現は、大脳皮質および海馬のニューロンにおいてM1受容体と共発現することが明らかとなった。さらに、細胞レベルでの観察においても、M1受容体が細胞内で局在するトランスゴルジネットワーク(TGN)において、このトランスポーターも局在することが分かった。つまり、このトランスポーターは細胞内へアセチルコリンを輸送するとともに、TGN内部にもアセチルコリンを運び、内部からM1受容体を活性化するために機能すると考えられる。現在、このトランスポーターのTGN局在性の低下した変異体を作製してその仮説を検証しようという状況である。これらの研究に加えて、TGNへの膜タンパク質の逆行輸送を制御するPIKfyveというキナーゼのM1受容体やトランスポーターのTGN局在性への関わりを調べる過程で、PIKfyveとグルタミンおよびアンモニア代謝との関わりを示す結果を得た。当初の研究計画にはなかった研究対象ではあるが非常に興味深い知見であり、その解明にも研究資源の一部を割いた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ムスカリンM1受容体とともにアセチルコリントランスポーターが大脳皮質および海馬のニューロンで発現していることを明らかにしたことは、in vivoで実際に細胞内のM1受容体が細胞内へ取り込まれたアセチルコリンによって活性化される可能性を支持する成果であり、重要な進展である。このトランスポーターを遺伝子編集によりノックアウトしたマウスも作製を進め、実際にノックアウトされていることを確認しており、以降の研究に使用可能な状況となっている。研究の過程で偶発的に明らかとなったPIKfyveとグルタミンおよびアンモニア代謝との関係については、早急に研究成果としてまとめており、論文として雑誌へ投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
アセチルコリントランスポーターのノックアウトマウスの作製を終えたため、そのマウスを使用して、in vitroおよびin vivoの系による細胞内M1受容体の活性化の有無を検証する研究を行う。In vitroおよびin vivoのニューロンで細胞内アセチルコリンセンサーを発現させるためのアデノ随伴ウイルスの作製は既に完了している。さらに、トランポーターのTGN局在に関する分子生物学的解析を通して、メカニズムの裏付けを得たうえで、論文としてのまとめ上げに進む予定である。
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