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G12ファミリーのGタンパク質を介したシグナルの解析

研究課題

研究課題/領域番号 22K06646
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分47040:薬理学関連
研究機関徳島大学

研究代表者

黒瀬 等  徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 徳島大学専門研究員 (10183039)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワード受容体 / Gタンパク質 / シグナリング / G12ファミリー / がん化
研究開始時の研究の概要

G12ファミリーのGタンパク質(G12とG13)をそれぞれノックアウトしたマウスは、G12ノックアウトマウスは成長していくのに、G13は胎生致死であった。また、G12とG13はがん化のシグナルを活性化するとの報告もなされている。G12とG13に独自のシグナルを明らかにすることで、がん化の新しいメカニズムを見出すことができるのではと考えている。そこで、G12とG13を選択的に活性化するデザイナー受容体、リン酸化プロテオミクスなどの手法を用いて、G12とG13が選択的に活性化するシグナルを明らかにする。

研究実績の概要

受容体-Gタンパク質シグナルは細胞膜シグナルの主要な経路である。100を超える受容体に対してGタンパク質は16種しか存在せず、Gs、Gi、GqおよびG12から成る4種のファミリーに分けられる。Gsはアデニル酸シクラーゼの活性化、Giはアデニル酸シクラーゼの抑制、GqはホスホリパーゼCの活性化、G12はRhoAの活性化をそれぞれ引き起こすと考えられている。G12にはG12とG13が含まれ、いずれも低分子量Gタンパク質(RhoA)を活性化する。しかし、in vivoではお互いの機能を相補しないため、RhoA以外のシグナルも活性化していると考えられている。すなわちG12とG13はRhoA以外の独自のシグナルを活性化していると想定されている。本研究では、G12とG13独自のシグナルを、リン酸化プロテオミクスなどの手法を用いて明らかにすることを目的としている。受容体はin vivoでの役割解析を踏まえて、G12あるいはG13を選択的に活性化するデザイナー受容体を用いる。デザイナー受容体はクロザピン-N-オキシド(CNO)のみをアゴニストとする。すでに、G12選択的デザイナー受容体は作製していることから、G12選択的シグナルの解析を開始した。G12選択的デザイナー受容体をHEK293A細胞に発現させCNOで刺激した細胞をリン酸化プロテオミクスの手法で解析したところ、cAMP依存性タンパク質リン酸化酵素(PKA)が活性化されていることを見出した。リン酸化プロテオミクスでは基質ペプチドの解析を行っているのみで、実際にPKAが活性化されていると示すことができないため、PKAの活性化を測定した。今後は、GqおよびGsの関与を除く実験を計画している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

すでに、G12選択的デザイナー受容体を刺激すると、リン酸化ペプチドを解析したリン酸化プロテオミクスの手法によりPKAあるいはPKAに近い基質特異性を持つキナーゼが活性化されることを見出している。実際にPKAが活性化されていることは、PKAの活性化を測定するキットを用いて確認している。PKAの活性化は、用量と時間依存性を示したことから、薬理学的にもPKAの活性化は意味のある応答だと結論できる。今後、G12よりPKA活性化までのシグナルを解析することで、新たなシグナルを提唱できると期待している。また、G12ファミリーは細胞増殖(がん化を含む)にも関わっていると報告されていることから、新たなシグナルの解明はがん化のメカニズム解明に貢献できると考えている。これらの観点からおおむね順調に進展していると評価した。

今後の研究の推進方策

今後の実験を次のように計画している。今回リン酸化酵素としてPKAを同定した。そこで、Gsの関与を否定するために、初めに刺激によってcAMP量が上昇するか検討する。cAMP量の変化が検出限度以下である可能性も考慮する。次に、Gsとのカップリンが弱い場合、Gsαをノックダウンさせた効果も検討する。さらに、選択的受容体といえども受容体のGタンパク質選択性は厳密なものではなく、G12以外にもGqとカップルしている可能性がある。そこで、Gqαの阻害剤YM-254890の添加時のPKAの活性化を測定し、Gqの関与がないことを確認する。通常、PKAは触媒サブユニットと制御サブユニットが結合しており、cAMPが制御サブユニットに結合することで、2者は解離する。PKA触媒サブユニットが相互作用する分子をデータベースより検索し、制御サブユニット以外の分子(候補分子と呼ぶ)を見出す。G12刺激によりPKA触媒サブユニットが候補分子から解離するメカニズムを検討する。この時、候補分子とPKAの解離はPKAサブユニットと候補分子に異なるプローブを付加させたFRETやBRETを用いて解析する。受容体からPKAサブユニットまでのシグナリングを明らかにする実験系を組み立てる。今回同定したG12選択的シグナリングがin vivoでも活性化されていることを示すため、ゼブラフィッシュに発現させ、RNAiを用いたノックダウンやPKA阻害剤を用いた実験を行うことも計画している。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 4件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 5件)

  • [国際共同研究] Seoul National University(韓国)

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [国際共同研究] Queen Mary University of London(英国)

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] New Therapeutics for Heart Failure: Focusing on cGMP Signaling.2023

    • 著者名/発表者名
      Mangmool S, Duangrat R, Parichatikanond W, Kurose H.
    • 雑誌名

      Int J Mol Sci.

      巻: 24 号: 16 ページ: 12866-12866

    • DOI

      10.3390/ijms241612866

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Gタンパク質共役型受容体を介したバイアス型シグナリング2022

    • 著者名/発表者名
      Kurose H.
    • 雑誌名

      薬学雑誌

      巻: 142 号: 10 ページ: 1091-1101

    • DOI

      10.1248/yakushi.22-00087

    • ISSN
      0031-6903, 1347-5231
    • 年月日
      2022-10-01
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Pharmacology of Antagonism of GPCR2022

    • 著者名/発表者名
      Kurose H, Kim SG.
    • 雑誌名

      Biological & Pharmaceutical Bulletin

      巻: 45 号: 6 ページ: 669-674

    • DOI

      10.1248/bpb.b22-00143

    • ISSN
      0918-6158, 1347-5215
    • 年月日
      2022-06-01
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 心臓の線維芽細胞と線維化2022

    • 著者名/発表者名
      Kurose H.
    • 雑誌名

      生化学

      巻: 94 号: 1 ページ: 49-66

    • DOI

      10.14952/SEIKAGAKU.2022.940049

    • ISSN
      0037-1017
    • 年月日
      2022-02-25
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] A TRPC3/6 Channel Inhibitor Promotes Arteriogenesis after Hind-Limb Ischemia.2022

    • 著者名/発表者名
      Shimauchi T, Numaga-Tomita T, Kato Y, Morimoto H, Sakata K, Matsukane R, Nishimura A, Nishiyama K, Shibuta A, Horiuchi Y, Kurose H, Kim SG, Urano Y, Ohshima T, Nishida M.
    • 雑誌名

      Cells

      巻: 11 号: 13 ページ: 2041-2041

    • DOI

      10.3390/cells11132041

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Redox-dependent internalization of the purinergic P2Y6 receptor limits colitis progression2022

    • 著者名/発表者名
      Nishiyama Kazuhiro、Nishimura Akiyuki、Shimoda Kakeru、Tanaka Tomohiro、Kato Yuri、Shibata Takahiro、Tanaka Hiroshi、Kurose Hitoshi、Azuma Yasu-Taka、Ihara Hideshi、Kumagai Yoshito、Akaike Takaaki、Eaton Philip、Uchida Koji、Nishida Motohiro
    • 雑誌名

      Science Signaling

      巻: 15 号: 716 ページ: 716-716

    • DOI

      10.1126/scisignal.abj0644

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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