研究課題/領域番号 |
22K06653
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47040:薬理学関連
|
研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
森谷 昇太 東京医科大学, 医学部, 助教 (30634935)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 骨髄腫 / 微小環境 / 間質細胞 / オートファジー / ボルテゾミブ / クラリスロマイシン / NOXA / マクロライド / プロテアソーム / 多発性骨髄腫 |
研究開始時の研究の概要 |
難治性造血器腫瘍である多発性骨髄腫の耐性には、骨髄腫細胞が間質細胞に接着することで生じる微小環境誘導性薬剤耐性(CAM-DR)が最も関与していると考えられているが、その詳細な分子機構は明らかではない。本研究ではCAM-DRに関与すると考えられる骨髄腫-間質細胞間に存在するオートファジーを介したネットワークの解明を目指す。また、代表者らがこれまでに見出してきたマクロライドのオートファジー阻害作用を活用することで、耐性化の克服を目指した基盤形成を行う。CAM-DRによる耐性化を阻止し、治療初期に強力な癌細胞死を誘導することは「獲得耐性を阻止」し「癌幹細胞の完全排除」にも繋がる可能性が考えられる。
|
研究実績の概要 |
骨髄腫難治性の原因の一つに、間質細胞と骨髄腫細胞の接着によって誘導される間質細胞誘導性薬剤抵抗がある。研究代表者は間質細胞株と骨髄腫細胞株を共培養すると、共培養下ではプロテアソーム阻害剤による骨髄腫細胞株への殺細胞効果が減弱することを見出し、この原因として骨髄腫細胞株に細胞死促進タンパク質NOXAの誘導減弱が起きることを明らかにしてきた。2023年度はこれまでの研究成果をPLOS ONE誌に報告した(PMID: 38039297)。
これまでの研究においてBortezomib(BZ)などのプロテアソーム阻害剤とオートファジー阻害作用を持つマクロライド抗生剤の併用が骨髄腫細胞株にNOXAの持続発現をもたらし、間質細胞株の存在下でも強力に骨髄腫細胞株に殺細胞作用を誘導するとの成果を得ている。そこで本年度は骨髄腫の新規治療戦略の確立を目指し、NOXAおよびNOXAに関連する分子を標的とした研究を行った。ミトコンドリア膜上ではMCL-1やBCL-2といったタンパク質が細胞死促進的に働くBAKやBAXの活性を負に抑制している。NOXAはMCL-1を阻害することでミトコンドリアを介したアポトーシスを誘導するが、BZとBCL-2阻害薬であるvenetoclax(VEN)を併用したところ、骨髄腫細胞株に相乗的な殺細胞作用の増強が見られた。この殺細胞作用はNOXAを欠損した骨髄腫細胞株では大きく抑制された。この結果からNOXAとBCL-2といった二つの因子を標的とすることが骨髄腫の治療成績の改善につながる可能性が示唆された。さらに抗腫瘍効果を高めるためにオートファジー阻害作用を持つマクロライド抗生剤との併用実験を検討している。また間質細胞株の存在下でも本併用療法が有効であるか検証を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、間質細胞株と骨髄腫細胞株を共培養したときに生じる間質細胞側のオートファジーに着目した研究を計画していたが両細胞を区分するために必要なフローサイトメーターに修理不能な不具合が生じた。また、遺伝子欠損間質細胞株のクローン間の実験間誤差が大きく、現状、間質細胞側に起きる現象については明確な実験結果が得られていない。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の目標であった間質細胞側に生じる現象の解明については間質細胞株の種類を増やして研究を進める。機器の不具合などもあり、現時点では細胞死促進タンパク質NOXAの人為的制御に着目した研究を進めている。当初の研究計画については、セルカルチャーインサートを隔てた共培養実験を中心に行い、両細胞で生じるオートファジーの分子病態学的な意義の解明を進める予定である。
|