研究課題/領域番号 |
22K06669
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47050:環境および天然医薬資源学関連
|
研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
安元 加奈未 東京理科大学, 薬学部薬学科, 講師 (70412393)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | リーシュマニア症 / 薬用植物 / 天然活性物質 / 熱帯感染症 / 抗リーシュマニア |
研究開始時の研究の概要 |
熱帯感染症リーシュマニア症は特効薬が未だに存在せず、顧みられない病気と言われ早期の治療薬開発が望まれている。申請者らは、漢方薬・紫雲膏がリーシュマニア原虫に対して臨床的に高い効果があり、キノン系化合物群のシコニン類が活性物質であることを明らかにした。また熱帯地域の植物からシコニンに似た強い抗リーシュマニア活性化合物を発見している。本研究課題では、熱帯版紫雲膏開発を目指して新たな植物由来シーズ探索と共に、活性物質の共通構造である「キノン」に着目し、キノン系化合物が原虫に与える酸化ストレスやアポトーシス、酵素への影響等を調べることで有用性を検討し、創薬への基礎研究とする。
|
研究実績の概要 |
本研究課題では、原虫性熱帯感染症であるリーシュマニア症に苦しむ途上国の生活向上という社会実装を目指し、現地の植物資源を用いて安価な「熱帯紫雲膏」創出にむけ、生物有機化学的研究展開を行うものである。新たなシーズ探索とともに、これまで見つかっている抗リーシュマニア活性を有するキノン系化合物やフラボノイド系化合物に共通する抗酸化活性が作用機序解明の鍵となると推定し、本研究では、トリパノソーマ科特異的酸化還元酵素 (トリパノチオン) への影響,酸化ストレスに伴う原虫のアポトーシス誘導活性,酸化ストレス応答に関与するポリアミン生合成や輸送への影響を検討する。2023年度は、引き続き作用機序を解明するための活性化合物を単離精製し、その量上げを目的として熱帯領域であるミャンマーに生育する植物から、抗リーシュマニア活性を有する化学成分を探索することを目的としてイソマツ科、マメ科、トウダイグサ科、リンドウ科植物エキスについて各種クロマトグラフィー等の化学的分離手法を用いて成分探索を行った。これらについて、核磁気共鳴スペクトル(NMR)、質量分析等の機器分析により、それぞれの化学構造を決定し、リーシュマニア原虫に対する活性をIC50値にて算出した。また、細胞に対する影響を検討するために、宿主細胞モデルであるRAW264.7細胞、J774.1細胞を用いて増殖抑制試験を行った。これまでに得られた化合物ならびに既知活性化合物について、網羅的遺伝子解析(RNAseq)を実施するべく、作用量検討のために化合物のSelectivity indexを算出し遺伝子抽出を行うための原虫の大量培養条件について検討を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画において、最終年度に行う作用機序解明のための各実験系に用いる活性物質を既知物の他にミャンマー産薬用植物から単離精製し、現在まで順調に進行している。また、強い活性を示す化合物も単離できており、量上げに取り組んでいる。リーシュマニア原虫ならびに宿主細胞モデルにて細胞に対する増殖抑制試験も実施した。また、網羅的遺伝子解析(RNAseq)を行うための各種条件検討を開始した。以上のことから、計画はおおむね順調に進展していると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度の研究推進方策としては、既報活性化合物ならびに量上げを行った化合物について抗酸化能を有する活性化合物群に対する作用機序の解明を目指し、化合物を作用させた際のミトコンドリア膜電位差によるリーシュマニア原虫のアポトーシスならびにトリパノチオン還元酵素アッセイの検討を開始する予定である。また、化合物を作用させた原虫の遺伝子を網羅的に解析するRNAseqを検討し、発現変動する遺伝子群の探索を試みる。加えて活性化合物およびエキスを用いた軟膏剤を試作する。
|