研究課題/領域番号 |
22K06688
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47050:環境および天然医薬資源学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
森川 敏生 近畿大学, 薬学総合研究所, 教授 (10340449)
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研究分担者 |
萬瀬 貴昭 近畿大学, 薬学総合研究所, 講師 (40933990)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 伝統・伝承薬物資源 / 中性脂肪吸収抑制作用 / 脂質代謝改善作用 / オートファジー / マテ / アンディローバ / 内蔵脂肪蓄積低減物質 / 漢方製剤 |
研究開始時の研究の概要 |
漢方製剤やその構成生薬として利用される天然資源のなかから,加齢に伴い蓄積しやすくなる内臓脂肪の低減に資する活性天然物を探索することを目的とする.とりわけ,肥満症などに適応される漢方製剤およびその構成生薬から活性寄与成分およびその作用メカニズムを明らかにするなどの科学的評価を実施し,もって,エビデンスに基づいた新たな植物性医薬品あるいは機能性食品の候補素材の提案・開発をめざす.
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研究実績の概要 |
加齢に伴い蓄積しやすくなる内臓脂肪の過剰な蓄積を,健康と病気の間を連続的に変化する “未病” 状態のマーカーとして捉え,世界各地の伝統・伝承医薬学において供される天然医薬品,とりわけ,我が国の独自性の高い植物製剤である漢方製剤およびその構成生薬のなかから,内臓脂肪の低減に資する活性天然物を探索することを目的とする.すなわち,高脂肪食飼育した加齢動物モデルを用いた in vivo 評価試験での内臓脂肪蓄積量の低減作用(表現型)を示す天然資源から,その表現型を反映する肝細胞を用いた独自の in vitro 試験を指標に活性寄与成分の探索とその活性発現の必須構造,作用機序などの科学的評価をすすめる.見いだした活性天然物をもとに,セルフメディケーションやセルフプリベンションの実践に供される新たな植物性医薬品あるいは機能性食品の提案・開発へと繋げ,もって,限りある医療資源の効率的運用と持続可能な社会保障制度の維持に寄与したい. 事業初年度である令和4年度は,茶飲料素材であるマテ (Ilex paraguariensis A. St.-Hil.)葉部から,中性脂肪吸収抑制作用を示すサポニン成分を見いだすとともに,南米生薬アンディローバ (Carapa guianensis) 由来のリモノイド成分に幹細胞における脂質代謝改善作用が認められ,その作用機序のひとつとしてオートファジーの関与を示唆する成果などが得られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
事業初年度の計画として,糖・脂質代謝改善効果を期待できる新たな候補素材選定のための評価試験の実施がメインであった.すなわち,天然資源からの医薬シーズ探索研究の実施で培ったこれまでのノウハウを生かし,国内外の食用資源から調製した抽出エキスライブラリーについて,糖および脂質代謝改善効果を指標として各種 in vivo および in vitro 評価試験を実施するとともに,ピックアップされた有望素材について,生物活性を指標に分離・精製し,NMRをはじめとする各種スペクトルの解析から活性寄与成分および新規化合物の構造解析などをすすめた.これらの成果については,次年度以降の研究実績に反映できる基盤研究であるが,相応の研究期間を要するものであった. これらの進捗の傍ら,今年度実績として,マテやアンディローバなどの機能性成分に関する研究成果を報告するに至ったことから,本研究はおおむね順調に進展しているものと考える.
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今後の研究の推進方策 |
継続して各種評価試験による有望素材を選定するとともに,ピックアップされた有望素材について,生物活性を指標に分離・精製し,NMRをはじめとする各種スペクトルの解析から活性寄与成分および新規化合物の構造解析などすすめるとともに,見いだした活性寄与成分の全合成および類縁体ライブラリーの合成研究およびタンパクレベルおよび遺伝子レベルでの活性寄与成分の作用メカニズム解析の実施を予定している.これらの検討を複数の素材について同時並行で研究をすすめることで,切れ目のない研究成果のアウトプットが見込めるようにし,もって,エビデンスに基づいた新たな機能性食品あるいは植物性医薬品の候補素材の提案・開発へと繋げたい.
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