研究課題/領域番号 |
22K06695
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
齋木 琢郎 新潟大学, 医歯学系, 助教 (90865057)
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研究分担者 |
西條 康夫 新潟大学, 医歯学系, 教授 (10270828)
日比野 浩 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70314317)
緒方 元気 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 特任准教授 (80452829)
栄長 泰明 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (00322066)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ダイヤモンド電極 / 電気化学測定 / 血中薬物濃度 / TDM / 分子標的薬 / パゾパニブ / 血中薬物濃度測定 |
研究開始時の研究の概要 |
現在,血漿サンプル量: ~100 µL,測定時間: ~35秒,簡単なボタン操作のみで測定可能な系を確立した.今後,動物血漿検体を用い,迅速性,簡便性,測定感度のさらなる向上を目指し,電極装置,サンプル処理法などの最適化を進める. また,実臨床で薬剤を服用予定の患者に,文書による同意を得た上で採血を行い,本手法による血中薬物濃度測定が可能であるか,測定結果が妥当であるか,検証を行う.
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研究実績の概要 |
がん分子標的薬など,薬物動態の個体差が治療効果・安全性に影響する薬剤については,Therapeutic Drug Monitoring (TDM)が推奨されているが,今日の臨床では十分に活用されていない.その主な原因として,血中薬物濃度を容易に測定できる手段が欠如していることが挙げられる.この問題に対して我々は,ダイヤモンド電極を用いた電気化学測定により迅速,簡便,安価な血漿薬物濃度測定法を目指し,本研究を行った.テスト薬剤として,がん分子標的治療薬であり,薬物動態に関する知見の蓄積が豊富なパゾパニブを選択した.これまで本薬剤について,下記の通り,薬物濃度測定の系を創出した.測定系は,至適治療濃度域をカバーする0-150µMの範囲で血漿中薬物濃度を定量可能であり,短時間 (1回当たり測定自体は~35秒,サンプル処理を含めて~10分程度で完了する),少ない採血量 (1回当たり全血 ~40 µL),複雑な修飾・操作を要しない,低コスト (1回当たり$ 5 程度)など,当初の目的である迅速,簡便,安価な測定法の実現に近づいていることが確認された. 次に,この測定系を用いて,薬剤を経口投与したラット,薬剤内服中の臨床ヒト患者において血漿中薬物濃度を測定し,従来法である質量分析計 (LC-MS/MS)法との比較を行うことで,測定結果の妥当性を確認した.実臨床への応用に向けては,これまた下記の通り取り組むべき課題が残っているが,本手法を用いて,薬物投与法の個別化・最適化による治療成績の向上,Point-of-care testing, On-site monitoringに貢献できる可能性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
がん分子標的薬であるパゾパニブについて,薬物濃度測定の系を創出した.この系を用いて,ラット・ヒト患者血漿中の薬物濃度を測定し,従来法である質量分析計(LC-MS/MS)法との比較により測定結果の妥当性を確認した.この結果について,本年度に論文報告を行った(Saiki et al., Heliyon. 2023; 9(5): e15963).
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今後の研究の推進方策 |
先述の論文報告にて本手法の妥当性が確認されたが,同時に,従来法との測定結果のずれという形で本手法の改善の余地があることも示唆された.測定の感度,精度を改善すべく,基礎実験を重ねる必要がある.また,本手法を実臨床への応用に近づけるべく,小型化など装置の作り込みを行う.本手法は,パゾパニブ以外のがん分子標的治療薬やさまざまな種類の薬剤に応用の可能性がある.複数の薬剤を候補に選定し,パゾパニブに対して行った検討と同様に,測定系の最適化,臨床研究として臨床患者からのサンプル採取を進める.将来的には,本手法を用いたTDM,血漿薬物濃度測定結果をもとにした投与量調節に関する前向き臨床研究を行う必要があり,それに向けた準備を進める.
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