研究課題/領域番号 |
22K06714
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 就実大学 |
研究代表者 |
北村 佳久 就実大学, 薬学部, 教授 (40423339)
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研究分担者 |
浅沼 幹人 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (00273970)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | LPS / GABAA受容体 / 脳内炎症 / GABA合成酵素 / KCC2 / NKCC1 / 炎症 / 精神機能 / GABA / アストロサイト / 亜鉛 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、精神疾患の発症機序には神経系の異常の他に“炎症”が注目されてきた。申請者はベンゾジアゼピン(BZP)系抗不安薬であるジアゼパムは炎症を惹起したマウスでは逆に不安を誘発することを世界で初めて報告した。そこで、本研究は炎症による精神機能変化の病態解明研究を進める。①BZP系薬剤の作用点であるGABAA受容体機能変化、②アストロサイトが有する神経保護作用の変化である。 以上の検討より、通常の状態ではなく、炎症状態による精神機能の病態増悪因子の発見のみならず、最適な精神機能改善薬の創薬研究の基礎となるエビデンスを創出するものである。
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研究実績の概要 |
本年度はリポポリサッカライド(LPS)投与による炎症により脳内GABA神経系の機能変化し、不安症状が発現したという仮説の下、脳内GABA濃度、脳内の主要なGABAA受容体サブタイプ(a1, b2)およびGABA合成酵素(GAD65/67)のmRNA発現量を測定した。その結果、これらGABAA受容体およびGABA合成構想系の要因に何ら影響しなかった。さらに、GABAA受容体の機能は細胞内塩素濃度が関与している。そこで、我々は炎症により細胞内塩素濃度が高くなることがGABA受容体機能に影響する仮説を立て、Cl-を細胞内に取り込むNa+-K+-2Cl共輸送体アイソフォーム1 (NKCC1)およびCl-を細胞外に排出するK+-Cl-共輸送体アイソフォーム2 (KCC2) mRNA量測定を測定した。その結果、KCC2のmRNA量の低下を認めた。そこで、KCC2に対する拮抗薬が知られていないため、KCC2 mRNAを切断させる目的でsmall interfering RNA (siRNA)をマウスの脳室内に投与し、行動薬理学的に明暗試験を用いて不安症状を測定した。その結果、KCC2のsiRNA投与によって特に不安症状は認められず変化を示さなかった。 本年度は主に神経化学的に脳内GABA神経系について脳内炎症との関連性を検討した。その結果、脳炎症により直接変化を示すGABA神経系のマーカーを見出すことは出来なかった。 一方、LPS誘発の不安症状に対する亜鉛の効果を検討するために明暗試験を用いて検討を開始した。現時点では明確な結果は得られていないが、亜鉛投与によってLPS誘発不安症状は改善される傾向をつかんだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は現在の所ほぼ順調に推移している。しかしながら、当初GABA神経系の機能変化によって炎症による不安症状の発現につながっていると考えていたが、予測とは反して、ほぼGABA神経機能は脳内炎症に影響を受けないことが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は研究計画書通りにアストロサイトの抗酸化作用からの検討を行う。さらに、亜鉛投与による精神機能への影響およびその作用機序に関してメタロチオネイン発現もあわせて考えて行く。また、今年度うまく結果が伴わなかったKCC2に対するsiRNAをマウスの脳室内に投与し、LPS投与による不安作用に対する効果を再度検討する。
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