研究課題/領域番号 |
22K06716
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 九州保健福祉大学 |
研究代表者 |
緒方 賢次 九州保健福祉大学, 薬学部, 准教授 (90509580)
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研究分担者 |
高村 徳人 九州保健福祉大学, 薬学部, 教授 (20369169)
徳永 仁 九州保健福祉大学, 薬学部, 教授 (60369171)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 組織血流量 / 非観血的評価 / 薬物の腎クリアランス / 組織血流速度 / 薬物血中濃度 |
研究開始時の研究の概要 |
薬物の代謝・排泄を担う臓器の機能が変化すると、臓器血流速度や薬物消失能が変化するため、薬物血中濃度も変化する。一般に薬物血中濃度の測定は採取した血液を用いて実施される。しかし、非観血的に薬物動態を評価できるツールがあれば利用価値は非常に高い。本研究では、腎機能低下ラットおよび腎機能低下患者を対象として、エコーなどを用いて非観血的に測定した組織血流速度と薬物の消失能の関係を定量的に解析し、病態変化にともなう薬物血中濃度の変化を推測できるか検証する。本研究の進展は採血が容易に実施できない患者においても薬物血中濃度の変化を簡便に推測できるため意義が大きい。
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研究実績の概要 |
レーザー血流計(FLO-C1)による組織血流量を適正に評価するために、血流計の測定プローブを用いて臓器の適切な測定部位を探索した。はじめに、健常なSDラットを麻酔下で開腹し、血流計の測定プローブを腎臓の数カ所の部位に接触して血流量を調べた。その結果、測定プローブの腎接触部位を変えても測定値に大きな相違はなく、安定して測定できた。しかし、腎動脈に極めて近い部位では測定値が安定せずに測定が困難であった。これは血流計の処理能力が関係していると考えられる。次に、覚醒状態にある健常なSDラットにおいて、体表からアプローチして静脈の血流量が測定できるか調べたところ、ラットが安静状態にある場合は尾静脈近傍の血流量が測定できた。そこで、尾静脈近傍の血流量と腎臓の血流量の関係を調べることによって、尾静脈近傍の血流量から体内にある腎臓の血流量を推測できると考えたが、今回の検討では、その相関関係を明らかにすることはできなかった。 本年度は、腎機能低下が腎臓の血流量におよぼす影響を調べるために、SDラットに高アデニン低タンパク餌を与えて腎機能が低下したモデルを作成することを計画していた。餌は製造業者の既製品ではなく、独自の処方によって原料が調合され納品される予定であったが、世界的な原料不足の影響を受けて調達が困難な状況が続き納品が遅れた。このため、腎機能が低下した場合における腎血流量の変化を調べることができなかった。餌は年度末に入手できたため、2023年度は腎機能低下モデルの作成から開始することを計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度はレーザー血流計(FLO-C1)を用いて腎血流量を測定するための測定プローブの接触方法や測定部位を検討することができた。また、使用したレーザー血流計(FLO-C1)は血流量の大きい部位の測定は難しいが、尾静脈のように血流量が穏やかな部位では測定できることがわかった。しかし、腎機能低下モデルを作成するための餌の入手が遅れたため、病態モデルラットを作成することができず、腎機能が低下したときの血流量の変化について調べることができなかった。以上のことから本研究の進捗状況はやや遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
経時的な腎機能の低下と血流量の変化の関係を明らかにする。また、腎機能が正常時および低下時に腎クリアランスの大きい薬物を静脈注射し、薬物血中濃度の経時変化を調べ、薬物動態パラメータ(消失速度定数や腎クリアランスなど)を算出する。これによって腎機能、腎血流量、薬物動態パラメータの変化の関係を明らかにする。投与薬物として、p-アミノ馬尿酸(腎クリアランスが腎血漿流量に依存)、アルベカシン硫酸塩またはイヌリン(腎クリアランスが糸球体ろ過量に依存)を計画している。
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