研究課題/領域番号 |
22K06719
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
石川 雅之 千葉大学, 大学院薬学研究院, 助教 (40824561)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 中枢移行 / 血液脳関門 / バルプロ酸 / 蛋白結合 / オクルディン / 薬物動態 |
研究開始時の研究の概要 |
医薬品による眠気やふらつきなどは、薬物が中枢神経に移行して発現する中枢神経系副作用であり、薬物療法を行う上で非常に重大な問題となっている。本研究では、炎症や飲み合わせなどの様々な理由で薬物が中枢神経に移行しやすくなることが中枢神経系副作用の発現に関与している可能性があると考え、様々な薬物の中枢移行性の変動に関する情報の収集および中枢神経への移行性の変動と関連する血液マーカーについての検討を行う。
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研究実績の概要 |
バルプロ酸 (VPA)の脳内濃度と血中濃度の比は、血中蛋白非結合型分率(遊離型分率)と相関することが報告されている。そこで、VPAの中枢移行率の変化を考慮した投与方法の確立を目指してVPA血中遊離型濃度の予測モデルの構築を行なった。外部データセットを用いた予測精度の検証の結果、本モデルは既報のモデルと比較してより幅広い患者においてより高い精度で遊離型VPA濃度を予測できる可能性が示された。本モデルは臨床現場で簡便に測定可能なパラメータを用いていることから、構築したモデルが臨床現場で用いられ、VPAの有効かつ安全な治療につながることが期待される。 薬物の中枢移行は血液脳関門 (BBB)によって制御されており、BBBの透過性の変化によりいくつかの薬物の中枢移行性が変化することが報告されている。そこで、臨床現場で簡便に測定可能なBBBの透過性予測血液マーカーの探索を行っている。まず、虚血性脳卒中マウスにおいてBBBの透過性との関連が示唆される血中オクルディン濃度について検討した。細菌性髄膜炎患者21名23検体における血清中オクルディン濃度を測定した結果、1検体を除いて血清中オクルディン濃度は定量下限未満であった。BBBの透過性と関連すると考えられる髄液蛋白/血清アルブミン比が高い症例においても血清中オクルディン濃度は定量下限未満であり、本研究の結果からは血清中オクルディン濃度とBBBの透過性との関連は見出されなかった。 重篤な中枢神経系副作用の報告がある薬物に着目して薬物の髄液移行率とBBB透過性との関連について検討するため、当該薬物の血中および髄液中濃度の測定法の検討を行なっている。現在のところ血清サンプルにおいて検量線の直線性等を確認している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で得られたVPA血中遊離型濃度の予測モデルは、VPAの中枢移行率の変化を考慮した治療方法の確立につながる有用な知見であると考えられる。 血液脳関門 (BBB)の透過性予測マーカーの探索においては、検討した候補蛋白の有用性を示すことはできなかった。今後は対象を広げて検討していく必要がある。 様々な薬物の髄液移行率とBBB透過性マーカーとの相関解析においては、重篤な中枢神経系副作用の報告がある薬物に着目して測定法の検討を行っており、定量法の確立の目処が立っている。 以上より、本研究は概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
バルプロ酸以外の薬物の血中遊離型濃度の予測法について検討する。また、髄液および血清中薬物濃度の定量法の確立を進め、当該薬物の髄液移行率とBBBの透過性との関連について解析を行う。BBBの透過性予測血液マーカーの探索については、今回検討しなかった蛋白などについて検討を行う。
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