研究課題/領域番号 |
22K06726
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
山本 聡 札幌医科大学, 医学部, 助教 (10588479)
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研究分担者 |
小笠原 徳子 札幌医科大学, 医学部, 講師 (00438061)
高澤 啓 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (00593021)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | RSウイルス / 宿主因子 / 宿主標的因子 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトRSウイルス (hRSV)は免疫力が弱い乳幼児や高齢者に、下気道炎などの重症呼吸器疾患を引き起こすウイルスである。抗ウイルス薬・ワクチンは開発中であるがhRSVはRNAウイルスであることから、これらの治療法に対して耐性をもつ変異ウイルスが出現するリスクが極めて高い。本研究では、ウイルスタンパク質を標的とした従来の創薬とは異なるアプローチによる抗hRSV薬の開発を目指し、hRSVが宿主細胞を利用して増殖するというウイルス特有の性質に基づき、宿主タンパク質を標的としてウイルスの増殖を阻害する新規創薬コンセプト (宿主標的治療)をhRSVへ応用するための基礎的知見を得ることを目的とする。
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研究実績の概要 |
ヒトRSウイルス (human Respiratory Syncytial Virus; hRSV)は免疫力が弱い乳幼児や高齢者に、下気道炎などの重症呼吸器疾患を引き起こすウイルスである。抗ウイルス薬・ワクチンは開発中であるがhRSVはRNAウイルスであることから、これらの治療法に対して耐性をもつ変異ウイルスが出現するリスクが極めて高い。 本研究では、ウイルスタンパク質を標的とした従来の創薬とは異なるアプローチによる抗hRSV薬の開発を目指し、hRSVが宿主細胞を利用して増殖するというウイルス特有の性質に基づき、宿主タンパク質を標的としてウイルスの増殖を阻害する新規創薬コンセプト (宿主標的治療)をhRSVへ応用するための基礎的知見を得ることを目的とした。 3年の研究計画のうち初年度 (2022年度)は、hRSVが複製の際に利用する宿主因子の同定を試みた。CRISPR-Cas9を用いてゲノムワイドなknock out (KO)細胞株を樹立した。このKO細胞にGFP-RSVもしくはGFP-hMPV (human methapheumovirus) を感染させ、約二週間後、生存細胞に組み込まれているsgRNAを次世代シークエンスで解析した。その結果、いくつかの宿主因子を同定することに成功した。興味深いことに、既知のウイルス受容体の他、ゴルジ体の品質管理に関与するタンパク質や核内でRNA editingに関与する因子が抽出されており、来年度はこれらの因子に着目hRSV複製との関連性について焦点を定め研究を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
hRSVが複製の過程で利用する宿主因子を同定するために、CISPR-Cas9を用いてゲノムワイドなknock out (KO) 細胞株を、lenti-virusを用いてA549細胞、Beas-2B細胞、H1-HeLa細胞で樹立した。これらの細胞に、GFP-RSVおよびGFP-hMPVをMOI=3で感染させた。感染後、1日後に細胞を継代した。その後、細胞の増殖を観察しつつ継代培養を繰り替えし、2週間ほど培養を続けた。最終的にウイルス感染に耐性の細胞群 (複製に必要な因子がKOされている細胞はウイルスが増えない =細胞死が起きず増殖する)を回収し、ゲノムを抽出した。その後、次世代シークエンスでsgRNAの配列を取得し、バイオインフォマティクス解析を経て、耐性細胞内でKOされている遺伝子を抽出した。 その結果、FDRが0.05以下の候補遺伝子として、既知のウイルス受容体 (1つ)、この受容体の糖鎖修飾合成経路の関連因子に加えて、これまでに報告されていない宿主因子 (3つ)を同定することに成功した。 また、hRSVの粒子形成に関わる宿主因子を同定するために、ウイルス構造タンパク質のG及びFタンパク質に対するpeptide polyclonal抗体を作成した。F抗体については免疫蛍光染色を行ったが、Fを特異的に認識しなかった。G抗体については解析中である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、引き続き同定した宿主因子の解析を進める。特に、これまでに報告されていない因子に着目し進める。方法としては、siRNAを用いたKnock down細胞を樹立し、GFP-RSVを感染させ、一定時間培養後の細胞質の転写活性および上清中に排出される感染性ウイルス粒子の数を測定し、複製に関与する宿主因子を決定する。その後、KO細胞やその補完株を樹立し、siRNAとの整合性を確認する。 ウイルス粒子形成については、作成したF抗体では効率的に細胞表面上のFを認識できないことが明らかになった。そのため、G抗体や市販のモノクローナルF抗体を作成もしくは入手し、高感度の検出系の立ち上げを優先に進める。その後、CRIPSR-Cas9のゲノムワイドKO細胞を用いて、同様に宿主因子の同定を進める。
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