研究課題/領域番号 |
22K06729
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
藤村 昭夫 自治医科大学, 医学部, 客員教授 (90156901)
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研究分担者 |
今井 靖 自治医科大学, 医学部, 教授 (20359631)
牛島 健太郎 山陽小野田市立山口東京理科大学, 薬学部, 教授 (70448843)
土屋 裕義 自治医科大学, 医学部, 講師 (80508755)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 血液脳関門 / 体内時計 / 薬物動態 / 高齢者 |
研究開始時の研究の概要 |
社会活動における医薬技術開発の貢献は大きい反面、高齢者の多剤服用による薬物有害反応が問題となっている。特に薬物の中枢移行性に対する対策は乏しい。高齢者の生理機能を時間生物学的にみると、体内時計の同調力低下が指摘されている。この体内時計は時計遺伝子群からなり、各組織で遺伝子の転写活性に日内変動を与える機能本体である。本研究ではまず、血液脳関門における遺伝子発現の日内変動クラスターを利用して、高齢者に特有の“加齢因子”を見出す。次に、この因子を組込んだ培養細胞を用いて高齢者血液脳関門モデルを作製し、加齢による脳内薬物移行性の変化を予測するアルゴリズムの構築を目指す。
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研究実績の概要 |
2022年度はまず、若齢マウスの脳組織かららデキストランを用いて脳血管内皮細胞(BMV)を分画し、各種ABCトランスポーター発現のリズムを測定した。その結果、トランスポーターのmRNAおよびタンパク質の発現量に明瞭な日内リズム性変動は認めなかった。これは、既に報告がある小腸や肝臓など末梢組織における発現と異なるパターンである。続いて、ABCトランスポーターのmRNA発現量が比較的高い13時を採取時刻として、若齢マウスと高齢マウス(85週齢)から同様にBMVを分画した。このサンプルを用いて各種ABCトランスポーター発現量を解析した結果、若齢マウスと高齢マウスの間に大きな違いを認めなかった。 ここまでの検討では、全細胞からのタンパク抽出液(Whole cell lysate)を使用したため、細胞膜における発現量を正確に比較できていない。トランスポーターの機能部位は細胞膜であるため、薬物輸送における加齢の影響を評価するためには細胞膜上のトランスポーター発現量を比較する必要がある。予備的検討として、肝臓や腎臓から細胞膜画分を抽出して、ABCトランスポーターの発現量を若齢マウスと高齢マウスで比較した。その結果、一部のトランスポーターにおいて細胞膜上の発現量が若齢マウスよりも高齢マウスで減少していることが示唆された。 以上より、脳血管内皮細胞におけるABCトランスポーターの遺伝子発現及びタンパク質発現は、加齢の影響を受けない可能性がある。しかし、細胞膜への局在が加齢により低下していることが推測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
デキストランを用いて脳血管内皮細胞(BMV)を分画し、各ABCトランスポーターの発現量を測定できている。デキストランが次世代シーケンス解析に影響することが判明したため対策を講じる必要がある。ABCトランスポーターの発現に及ぼす加齢の影響が、末梢組織とBMVで異なることが新たな知見であり、研究の進捗はおおむね順調と考えられるため。
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今後の研究の推進方策 |
膜タンパク質が安定して膜局在するためには、細胞質側の足場タンパク質の支援が必要である。細胞膜画分におけるABCトランスポーター発現量に加えて、足場タンパク質の発現量が若齢マウスと高齢マウスで異なるか否か明らかにする。 足場タンパク質の発現量や細胞膜局在が加齢によって低下していた場合、その発現低下をきたす主要因をエピゲノム制御の面から解明していく。
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