研究課題/領域番号 |
22K06741
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
横大路 智治 広島大学, 医系科学研究科(薬), 准教授 (70389120)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 食物アレルギー / 小腸上皮由来サイトカイン / 感作 / 消化管障害 / 非ステロイド性抗炎症薬 / 運動負荷 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、薬剤の服用と運動負荷に着目し、小腸上皮由来サイトカインの産生に伴う経口感作の亢進を立証することで、小腸の傷害が感作を亢進させる機序を解明することを目的としている。申請者は、非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs) や運動負荷が小腸上皮細胞を傷害し、抗原の吸収の増加と小腸上皮の傷害に伴って産生される上皮由来サイトカインとが協奏的に作用することで、食物アレルギーの発症を助長する可能性を考えている。本研究で、小腸上皮細胞の傷害により経口感作を亢進させるサイトカインを解明できれば、食物アレルギーの発症予防や新規治療法の開発の手がかりが得られると期待される。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、小腸を傷害する要因として、薬剤と運動負荷に着目し、小腸上皮由来サイトカインの産生に伴う感作の亢進を立証することで、小腸の傷害が感作を亢進させる機序を解明することである。昨年度の検討で、1%デキストラン硫酸ナトリウム (DSS) を自由飲水投与する方法により、食物抗原の感作亢進を評価するためのDSS誘発消化管障害ラットモデルを作製することができた。本年度は、作製したDSS誘発消化管障害ラットモデルを使用して、卵白アルブミン (OVA) の感作と上皮由来サイトカインの産生に及ぼすDSSの影響を解析するとともに、非ステロイド性抗炎症薬であるインドメタシン (IND) の影響を解析した。DSSやINDの処置によりOVAの経口感作が亢進するか否かを解析した結果、DSS処置群では溶媒のみを処置した群よりもOVA特異抗体価が有意に増加し、消化管傷害や血漿中TSLP濃度の増加が認められた。この結果から、DSS処置は消化管に傷害を惹起し、TSLPの産生・分泌を上昇させることでOVAの経口感作を促進する可能性が示された。一方、IND処置は、OVA特異IgE抗体価を上昇させたが、血漿中TSLP濃度の有意な変動は認められなかった。現在、INDの処置による抗原感作の増強機序を明らかにすることはできていない。今後、IND処置条件を再検討するとともに、IL-33やIL-25などの上皮由来サイトカインについてもTSLPと同様に定量する予定である。また、これらのサイトカインを抑制する抗体を併用する解析を実施することで、DSSやIND処置による上皮由来サイトカインの産生・分泌とOVA感作の促進との関連性を明らかにする予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
デキストラン硫酸ナトリウム (DSS) 処置により消化管傷害と血漿中TSLP濃度の増加が認められ、DSSやインドメタシンの経口投与が食物抗原の経口感作を助長することを確認できたため。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度の検討で、デキストラン硫酸ナトリウム (DSS) やインドメタシン (IND) の処置が食物抗原の経口感作を助長することを明らかにすることができた。DSS処置については、血漿中TSLP濃度の上昇も認められたが、IND処置では変化が認められなかった。今後、IL-33やIL-25などの上皮由来サイトカインについても定量するとともに、これらのサイトカインを抑制する抗体を併用する方法で、DSSやIND処置による上皮由来サイトカインの産生・分泌促進とOVA感作の促進との関連性を明らかする予定である。
|