研究課題/領域番号 |
22K06750
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
西村 友宏 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 准教授 (40453518)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 妊娠高血圧症候群 / 絨毛外栄養膜細胞 / 子宮螺旋動脈 / 血管内皮細胞 / 浸潤 / 栄養膜細胞 / 走化性因子 |
研究開始時の研究の概要 |
妊娠高血圧症候群は、子癇発作および胎児発育不全に至る重篤な病態である。緊急降圧以外の治療方法は限定的であり、妊娠の終結を根本治療とする。母体の将来の高血圧発症率増加および児の将来の心血管疾患および認知機能への影響が指摘され、治療方法の開発は緊要である。発症要因である胎盤血流不全は子宮螺旋動脈の再構築不全が原因とされるが、その機構は不明である。20週間で螺旋動脈の新生から増生、再構築、病態増悪因子分泌と進行するため、螺旋動脈再構築に対する着床前血管形成の影響と絨毛外栄養膜細胞の内皮細胞指向性走化因子の解明、および病態増悪因子の分泌阻害方法の開発による新規薬物治療の開発を目指している。
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研究実績の概要 |
妊娠高血圧症候群の患者背景の一つは初産婦であり、着床前に子宮螺旋動脈再構築の成否要因が存在する可能性がある。「着床以前の子宮における血管形成が、妊娠初期の子宮螺旋動脈再構築に影響を及ぼす」との仮説を検証するため、着床以前に血管新生因子であるエストロゲンおよび血管内皮細胞増殖因子を阻害することで、子宮螺旋動脈再構築に与える影響を解明することを目的としている。未産ラットを飼育し、膣スメア法にて生理周期管理し、着床日までの血管形成不全をERαReceptor 阻害剤およびVEGF-A阻害剤を投与することで惹起した。妊娠18.5日に解剖し、子宮内膜および脱落膜での栄養膜細胞の浸潤を評価することで、子宮螺旋動脈血管再構築を評価した。上述の着床前子宮血管新生抑制ラットにおいて、対照群と比較し、血圧がわずかに上昇し、絨毛外栄養膜細胞の子宮内膜における浸潤は減少した。したがって、着床前における子宮血管の成熟度は、妊娠初期における子宮螺旋動脈の再構築に影響する可能性が示唆された。子宮螺旋動脈は、血管内皮細胞が胎児由来の絨毛外栄養膜細胞と置き換わることで再構築され、胎児成長に伴う胎盤血流の増加を実現するが、この再構築不全が胎盤虚血の原因とされる。絨毛外栄養膜細胞が内皮細胞指向性に浸潤する機序は不明であるため、ヒト絨毛外栄養膜細胞と、ヒト血管内皮細胞との共培養により、栄養膜細胞の浸潤を確認した上で、RNA-seqにより両細胞の間で、浸潤を促進する因子の探索を行なった。その結果、細胞走化性および細胞外基質分解酵素の一部に栄養膜細胞が内皮細胞指向性の浸潤を担う因子の候補が見出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
進捗は、研究の計画に対して概ね順調に進展している。しかしながら、仮説の証明のためには、分子機構論の詳細を継続して検討する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
上述の実績概要で示した着床前の子宮血管抑制が子宮内膜の栄養膜細胞の浸潤に与える影響について、子宮螺旋動脈再構築に対して特異的に影響を及ぼしているかどうかを、着床遅延を惹起している可能性と比較しながら解明する必要がある。 また、栄養膜細胞の浸潤促進因子について、RNA-seqdで得られた候補分子に対し、阻害条件を設定し、in vitroにおける浸潤実験において証明する必要がある。
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