研究課題/領域番号 |
22K06755
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
吉見 陽 名城大学, 薬学部, 准教授 (00637671)
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研究分担者 |
財津 桂 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (30700546)
野田 幸裕 名城大学, 薬学部, 教授 (90397464)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 統合失調症 / 網羅解析 / トランスクリプトーム / プロテオーム / メタボローム / バイオインフォマティクス / 網羅的解析 / 抗精神病薬 / クロザピン |
研究開始時の研究の概要 |
クロザピンは治療抵抗性統合失調症に対し高い有効性を示すが、ときに致死的副作用が発現するため普及が限定的である。複雑な薬理学的特性が治療効果と副作用の発現に関与している可能性が高いが詳細なメカニズムは解明されていない。 本研究では、クロザピン治療中の統合失調症患者およびクロザピン処置した統合失調症モデルマウス由来の検体を用いて、遺伝子-タンパク質-代謝物の各分子レベルの網羅的発現プロファイルを比較することにより、クロザピンの治療効果と副作用の発現および治療抵抗性統合失調症の病態に関わる分子を同定する。これにより分子機序に基づく診断・治療法の開発に繋がる成果取得を目指す。
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研究実績の概要 |
クロザピン治療中の統合失調症患者およびクロザピン処置した統合失調症モデルマウスを用いて、クロザピンの治療効果と副作用の発現および治療抵抗性統合失調症の病態に関わる分子を同定し、分子機序に基づく診断・治療法の開発に繋がる成果取得を目指す。 1.臨床検体のサンプリング:治療抵抗性統合失調症と健常者より血清、血漿、リンパ球の収集を継続している。新たな医療機関に連絡をとり検体収集の協力を打診している。 2.モデルマウス作製、薬物投与、サンプリング:フェンシクリジン投与マウス(10 mg/kg、14日間皮下投与)にクロザピン(10 mg/kg、30 mg/kg)を7日間経口投与し、血漿・脳・心臓を採取している。行動解析バッテリー(新奇物体認知・3チャンバー・Y迷路・受動回避・プレパルス抑制試験)を実施し、データ解析と追試験の実施計画を検討中である。組織学的解析は切片作製・染色条件の検討を実施した。 3.多階層的網羅解析:トランスクリプトーム解析は、ヒトリンパ球・マウス脳のマイクロアレイデータ解析を進めている。上述のモデルマウスのプール検体(各群4匹)の脳検体(前頭前皮質・側坐核・海馬)のRNAseqを実施し、データ解析に着手している。プロテオーム解析は、質量分析によるヒト血漿・マウス血漿・脳・心臓のデータ解析を進め、各検体種間のオーバーラップ分子の確認と生物学的意義の検証を実施している。メタボローム解析は、性別一致・年齢近似のヒト血漿を集積し、解析対象代謝物について標準品を用いた定量解析条件の検討を実施した。メタボローム解析用のモデルマウス検体の収集を完了し、各検体種ごとの定量条件検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒトおよびマウス検体の収集を進め、網羅解析のデータ解析に着手している。引き続き追加のスクリーニング・バリデーション用検体の集積を進め、候補分子の検証を進める。今後、網羅解析データのマイニングに時間を要する。また、検体種によって網羅解析結果の再確認手法によってサンプル前調製に技術的な検討が必要となる。検体種ごとに優先順位を付けて候補分子選定と発現変化の再確認を進める予定である。 行動解析は一通り実施してデータ収集を完了したが、統計学的解析に十分となる動物数を確保する必要がある。モデル作成から解析まで1か月以上要するため、他の実験の進行状況を考慮しながら継続する。 全体として年次計画に基づきヒト・マウス検体の網羅解析データの取得を進めることができており、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
1.臨床検体のサンプリング:収集済みのヒト検体の診療録情報の収集と、新たな医療機関との連携を行い、引き続き検体収集を継続する。 2.モデルマウス作製、薬物投与、サンプリング:行動解析(新奇物体認知・3チャンバー・Y迷路・受動回避・プレパルス抑制試験)の動物数の増加と統計解析を行い、クロザピンの認知機能に対する効果を検証する。 3.多階層的網羅解析:ヒトリンパ球のトランスクリプトーム解析から統合失調症関連遺伝子を同定し、定量PCRにより候補遺伝子の発現変化を再確認する。マウス各検体種についてRNAseqのためのサンプル調製とデータ解析を進める。プロテオーム解析は完了したデータのマイニングを継続して候補分子を選別し、ウェスタンブロッティングにより候補分子の発現変化を再確認する。マウス脳検体のメタボローム解析の着手および他検体種の解析条件検討を継続する。
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