研究課題/領域番号 |
22K06759
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
今任 拓也 福岡大学, 薬学部, 講師 (20368989)
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研究分担者 |
馬場園 明 九州大学, 医学研究院, 教授 (90228685)
西 巧 福岡県保健環境研究所, その他部局等, 研究員 (20760739)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 薬剤疫学 |
研究開始時の研究の概要 |
高血圧、糖尿病などの生活習慣病および精神疾患は定期的な受診と治療の継続が重要である。そこで、延べ4000万人のレセプトデータを用い、(1)緊急事態宣言の影響を受けた薬剤の検出、(2)服薬遵守・中断への影響とその要因解析、(3)予後のリスク評価、の3つの解析を実施し、新型コロナウィルス感染拡大による緊急事態宣言が、生活習慣病および精神疾患治療薬の服薬遵守および中断、さらには患者の予後にどのような影響を与えたかを明らかとする。
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研究実績の概要 |
今年度は、福岡県下の後期高齢者のレセプトデータを用い、降圧薬、糖尿病薬、向精神薬、脂質異常症治療薬の全体および薬効別に、一回目の緊急事態宣言が発出された2020年のそれぞれの薬剤の処方数および処方者数を月ごとに集計し、2019年の月次推移を対照としたITS分析を実施した。ITS分析の介入期間は、一回目の緊急事態宣言の期間が2020年4月7日~2020年5月14日であったため、2020年4月から2020年6月とした。 その結果、降圧薬、糖尿病薬、抗精神病薬、脂質異常症治療薬の全てで緊急事態宣言の期間(介入期間)において、2019年に比べて、2020年の方が有意に処方数が減少していた。特に降圧薬において、その減少率は大きく、向精神薬は減少率が最も小さかった。また、薬効分類別にみると、降圧薬では、ARB、糖尿病薬では、DPP4阻害薬、向精神薬では睡眠・鎮静剤、脂質異常症治療薬では、HMG-CoA還元酵素阻害薬は処方数も多く、減少率も大きくなっていた。また、介入期間終了後は、降圧薬、向精神薬、脂質異常症治療薬では、処方数は減少したまま推移していた。介入期間終了後に減少率が大きかった降圧薬、向精神薬、脂質異常症治療薬は、減少率同様、ARB、DPP4阻害薬、HMG-CoA還元酵素阻害薬であった。一方で、糖尿病薬は、処方数が介入期間前程度まで戻っている薬剤が多かったなか、インスリンの処方数は減少したままとなっていた。 今後は、まず、個人単位で追跡し、2019年と緊急事態宣言の期間を含む2020年の4月~6月末までの3ヶ月および4月~9月末までの6ヶ月間の服薬遵守および薬物治療の中断割合を算出し、緊急事態宣言が服薬状況に影響を与えたかどうかを検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究計画では、レセプトデータを用い、降圧薬、糖尿病薬、向精神薬、脂質異常症治療薬の薬効別に、一回目の緊急事態宣言が発出された2020年のそれぞれの薬剤の処方数および処方者数を月ごとに集計し、ITS分析を用い、コロナ禍以前の緊急事態宣言が発出されていない2019年の処方状況と比較することで、緊急事態宣言の影響を受けた薬剤の検出することであった。 よって、比較的予定通りにITS分析をすることができ、緊急事態宣言時の降圧薬、糖尿病薬、向精神薬、脂質異常症治療薬の薬効別の処方状況を検討することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度実施した2020年4-5月期の処方件数の変化量の絶対値が大きかった薬剤(降圧薬、糖尿病薬、向精神薬、脂質異常症治療薬)について、レセプトデータから2019年と緊急事態宣言の期間を含む2020年の4月~6月末までの3ヶ月および4月~9月末までの6ヶ月間の服薬遵守および薬物治療の中断割合を算出し、緊急事態宣言によって影響を受けたかどうかを検討する予定である。
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