研究課題/領域番号 |
22K06760
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 国立医薬品食品衛生研究所 |
研究代表者 |
塚越 絵里 国立医薬品食品衛生研究所, 医薬安全科学部, 任期付研究員 (60615384)
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研究分担者 |
斎藤 嘉朗 国立医薬品食品衛生研究所, 医薬安全科学部, 部長 (50215571)
浅田 秀夫 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60252681)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 重症薬疹 / 抗てんかん薬 / 遺伝子診断薬 |
研究開始時の研究の概要 |
特異体質性の副作用は発症予測が難しく、医薬品の安全対策上重要である。特にStevens-Johnson 症候群(SJS)及び中毒性表皮壊死症(TEN)等の重症薬疹は、副作用被害救済制度において最上位を占め、予測・予防型の対策が求められている。本研究の目的は、抗てんかん薬に関し、重症薬疹発症予測のための迅速診断に用いうる診断キットを構築することである。本研究の遂行により、簡便なゲノム診断系を構築するため、これを用いた将来の臨床研究による有用性の検証と、当該結果に基づく臨床応用に供することが可能となり、医薬品投与前診断による重篤副作用の発症回避につながると期待される。
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研究実績の概要 |
特異体質性の副作用は発症予測が難しく、医薬品の安全対策上重要である。特にStevens-Johnson 症候群(SJS)及び中毒性表皮壊死症(TEN) 等の重症薬疹は、副作用被害救済制度において最上位を占め、予測・予防型の対策が求められている。本研究の目的は、抗てんかん薬に関し、重症薬疹発症予測のための迅速診断に用いうる診断キットを構築することである。重症薬疹発症の報告の多い、主要抗てんかん薬のカルバマゼピン (HLA-A*31:01, HLA-B*15:11)、フェニトイン及びフェノバルビタール (HLA-B*51:01)、ゾニサミド (HLA-A*02:07) を研究対象の医薬品とした。 2022年度は、本研究を遂行するために必要な、対象とした医薬品によるSJS/TEN発症患者のゲノムDNA試料と臨床情報を全国の病院から収集し、これまでに収集済みの試料と合わせ情報の整理を行った。迅速診断に用いうる診断キットの構築のために、対象医薬品のカルバマゼピンによる重症薬疹の発症と関連するHLA-A*31:01と絶対連鎖不平衡にあると報告された一塩基多型(SNP:rs3869066)に関し、核酸クロマトグラフィー法による簡便な測定系の構築を計画し、rs3869066を検出するための系の構築に着手した。また、その他の関連が報告されたHLA型(HLA-B*15:11、HLA-B*51:01、HLA-A*02:07)については、各HLA型と関連するSNPを同定するための解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SJS/TEN患者試料の収集について、新規に4例のゲノムDNA及び臨床情報を収集した。HLA-A*31:01と関連するSNPの測定系の構築について、これまでに収集した試料の中から代表的なサンプルを選定し、カルバマゼピンによるSJS/TEN発症患者試料を核酸クロマトグラフィー法に用いた。核酸クロマトグラフィー法は、アレル特異的なPCR法により行うため、遺伝子多型(rs3869066)に特有の長さの増幅断片となるようにプライマーを設計し、増幅条件の検討を行った。また、その他、対象とした医薬品について、発症と関連するHLA型及びSNPを同定するため、整理した臨床情報の中から医薬品ごとに試料を選定し群分けを行い、HLAとの関連解析及びマイクロアレイ解析を行った。試料は遺伝子多型解析によりゲノム網羅的に検討し、インピュテーション技術を導入して行った。重症薬疹の発症に関連するSNPの検討では、統計学的に有意なSNPは検出できなかったため、HLA型解析と、マイクロアレイ解析から得られた情報を利用してHLA型とSNPの関連解析を行った。HLA型解析では、候補としたHLA型以外に、重症薬疹の発症と関連するHLA型を新たに検出した。また、各HLA型について有意に関連するSNPを同定した。当初の計画通りに研究は遂行され、おおむね順調に解析の結果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、引き続き試料の追加収集を行うと共に、カルバマゼピンよる重症薬疹試料について、HLA-A*31:01と関連するSNP(rs3869066)の測定系の構築を行う。現在検討中のプライマーの選定を完了し、PCR増幅産物を可視化する核酸クロマトグラフ―法の構築を行う。構築した分析法を用いて試料を解析し、信頼性や臨床応用に向けた検討を行う。信頼性に関し、標準品とする遺伝子断片の合成、及びこれを用いた一致性の確認、配列解析データ等の一致性の確認、最適なDNA抽出方法と診断に供する抽出量の検討等を行う。また、その他、対象とした医薬品について、2022年度に同定したHLA型と関連するSNPを、TaqMan法等により推定を確認し、測定系を構築するための最適なSNPを検討する。SNPを選定した後、rs3869066の分析法と同様の方法で、各SNPの測定系を構築する。さらに、rs3869066及び新たに選定した診断対象SNPを同時に検出するため、各SNPの測定系で使用したプライマーを混ぜて、アレル 特異的なPCR法を行い、1本のチップ上に展開するための条件を検討する。複数のSNPを同時に検出する際に、各 SNPの増幅効率の違いにより判別能が低い SNPの存在が予想されるため、PCR条件や核酸クロマトグラフィー法の展開条件を再度検討する。
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