研究課題/領域番号 |
22K06773
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
堺 陽子 和歌山県立医科大学, 薬学部, 助教 (50723079)
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研究分担者 |
松永 民秀 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 教授 (40209581)
長田 茂宏 和歌山県立医科大学, 薬学部, 教授 (40263305)
岩尾 岳洋 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 准教授 (50581740)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 肝細胞 / 胆汁うっ滞肝毒性評価系 / 毛細胆管 / 灌流 / MPS / 小腸細胞 / トランスポーター / 胆汁うっ滞肝毒性 / 胆汁うっ滞肝障害 |
研究開始時の研究の概要 |
非臨床試験における肝毒性試験においては、動物を使用することなく毒性評価を行う方法の確立が強く望まれている。これまでに申請者は、薬物によって胆汁酸関連トランスポーターの機能変動により起こる胆汁鬱滞肝障害に着目し、薬剤性胆汁鬱滞肝障害評価系の開発を行ってきた。しかし、静置条件下かつ肝細胞単体での評価系では、生体内を模倣した正確な予測を行うには限界があると感じ、microphysiological system(MPS)技術の一環として、灌流型小腸-肝臓2臓器連結デバイス(デバイス)を開発した。したがって、申請者らは、デバイス、小腸上皮細胞および肝細胞を用いた薬剤性胆汁鬱滞肝障害評価系の確立を行う。
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研究実績の概要 |
小腸-肝臓連結デバイス(MS-plate)上で培養した肝細胞の胆汁鬱滞肝毒性評価系の開発は、既存の報告(Susukida T et al., J. Pharm. Sci., 2016; 105, 1550‐1560)をもとに、ヒト血清に含まれる12種類の胆汁酸および肝障害を引き起こすcyclosporin Aの同時添加を行い、細胞外に漏出される乳酸脱水素酵素(LDH)を測定した。また、肝細胞毒性は、ポジティブコントロール(Triton-X)とネガティブコントロール(培地)それぞれのLDHとの差の割合から算出した。まず、MS-plate上でNTCP-HepG2-C4細胞を培養し、静置および灌流したヒト血清胆汁酸濃度を含んだ培養液の添加濃度および灌流速度を検討した。その結果、静置条件下では、ヒト血清胆汁酸濃度依存的にcyclosporin Aによる細胞毒性は増加し、25倍ヒト血清胆汁酸濃度でポジコンとほぼ同等の肝細胞毒性が認められた。そこで、25倍ヒト血清胆汁酸濃度を含んだ培養液を灌流したところ、cyclosporin Aによる胆汁うっ滞肝毒性は認められなかったが、ポジコンの結果は、肝毒性発生後から検出にかかるまでの時間が求められ、MS-plateを用いた灌流評価系の特性を知ることにつながった。灌流速度において、228 uL/hでは22時間、456 uL/hでは14時間の検出時間を示し、速度の違いが細胞毒性の検出時間に影響を与えることが確認できた。 これ以降の実験は、妊娠による体調不良、産休および育休のため中断せざる終えなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者である私が妊娠による体調不良、産休および育休の取得のため、進捗状況が研究計画より約1年間分遅れることになった。
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今後の研究の推進方策 |
小腸-肝臓連結デバイス(MS-plate)上で培養する肝細胞に対して、灌流による胆汁うっ滞肝毒性評価法を検討する。具体的には、培地中に含むヒト血清胆汁酸の添加濃度や胆汁酸蛍光化合物およびトランスポーター阻害薬を同時添加することで、胆汁うっ滞肝毒性評価系の開発に繋がる実験条件(灌流液や流速、サンプリングポイント)や解析条件を検証する予定である。また、短期間で毛細胆管を形成し、トランスポーターの局在性を示すHPHs(Human Primary Hepatocytes)の培養法を確立したため、MS-plate上でこの細胞を培養する、さらに、現時点では機能が高いと知られているヒトiPS細胞由来小腸上皮細胞(富士フィルム)を合わせることで、肝細胞のみでの胆汁うっ滞肝毒性評価系との相違点を見出し、小腸細胞の影響を考慮した胆汁うっ滞肝毒性評価系の確立を目指す。
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