研究課題/領域番号 |
22K06774
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
|
研究機関 | 高崎健康福祉大学 |
研究代表者 |
荻原 琢男 高崎健康福祉大学, 薬学部, 教授 (80448886)
|
研究分担者 |
塚 正彦 金沢大学, 医学系, 教授 (00272956)
崔 吉道 金沢大学, 附属病院, 教授 (40262589)
古宮 淳一 高知大学, 教育研究部医療学系連携医学部門, 教授 (60363280)
溝井 健太 国際医療福祉大学, 薬学部, 助教 (70849546)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | P-Glycoprotein / DEI / Blood-Brain Barrier / Testosterone / suicide / antipsychotic drug / SNPs / P-糖タンパク質 / 一塩基多型 / テストステロン / 血液脳関門 / 自殺 / 自殺企図 |
研究開始時の研究の概要 |
疫学的調査から、自殺企図者(特に自殺手段として暴力的な事例)は、P-糖タンパク質(P-gp)の特定の一塩基多型(SNPs:2677G>T/A)を有するヒトが有意に多いこと、また自殺企図者は脳内のテストステロン(TES)濃度が高いことが報告されている。さらに申請者は、TESがP-gpの生体内基質であることを見出した。そこで本研究では、「SNPsや医薬品の作用、TESの血中濃度の上昇など、P-gpの恒常的あるいは一時的な機能低下によってTESの脳内移行性が高まることにより自殺企図が誘導される」という仮説を、臨床疫学的調査およびin vitro の試験系を用い証明することを目的とする。
|
研究実績の概要 |
全世界で70万人以上が自殺しており、日本だけでなく世界的に見ても重大な社会問題である。自殺の要因は主に社会科学的な要因である一方、医薬品による副作用や遺伝的素因など一部の要因に関しては自然科学的な要因も存在する。 遺伝的素因の一つとして考えられるのがP-糖タンパク質 (P-gp) の一塩基多型 (SNPs) である。P-gpは基質となる薬物や生体内物質を細胞外や体外に排出するトランポーターであり、血液脳関門 (BBB) を構成する血管内皮細胞に強発現している。P-gpのSNPsは基質化合物の輸送活性を変化させると考えられている。さらに、P-gpにおける一部のSNPsは自殺に関連する因子であることが報告されている。 うつ病治療薬などの抗精神病薬の多くは自殺を誘発するとともにP-gpの基質である。さらに自殺者の多くに見られる自然科学的因子として、脳内テストステロン (TES) 濃度が高い点が挙げられる。これまでに申請者はTESがP-gpの生体内基質であることを見出している。これらのことを踏まえると、薬物による自殺誘発はP-gpを介したTESと薬物の相互作用によるものと考えられる。本研究はSNPsや医薬品の作用などによるP-gp機能の低下が及ぼすTESの脳内動態変化と、それによって自殺企図が誘導されるかの検討を目的とした。令和5年度はP-gp機能が医薬品の作用により低下した際のTESの脳内動態に関してラットを用いて検討した。本検討においては、オセルタミビルやシクロスポリンを用いた場合にTESの脳/血液濃度比の有意な上昇が確認された。さらにこれら薬物にはうつ病や異常行動などといったTESの関与が疑われる副作用が存在することから、これらの発現機序の少なくとも一部にP-gpを介した薬物とTESの相互作用の関与が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
検体試料および検体情報の採取は計画通りに進展している。また、これら試料を用いたテストステロン濃度、コチニン濃度および各種薬物濃度の測定方法も確立し、全検体において各種濃度測定は終了した。さらに遺伝子変異の解析手法、特に臨床検体からのDNA抽出プロトコルおよび遺伝子変異同定プロトコルも確立し、採取検体のうち10%ほどは解析が終了している。 In vitro試験系に関しても予定して遺伝子変異を持つ細胞株すべての樹立に成功しており、各種細胞株に対して複数の典型基質を用いて基質認識性および輸送能の変化の解析段階である。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き検体試料および検体情報の採取および臨床検体からのDNA抽出および遺伝子変異の同定を行う。
|