研究課題/領域番号 |
22K06775
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 日本薬科大学 |
研究代表者 |
瀧沢 裕輔 日本薬科大学, 薬学部, 准教授 (40453807)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 多剤併用 / 医薬品添加剤 / ミコフェノール酸モフェチル / 溶出率 / 細胞膜透過 / 後発医薬品 / 相互作用 / 消化管吸収 |
研究開始時の研究の概要 |
多剤併用療法による薬効変化の発生機構として薬物間相互作用だけではなく、医薬品添加剤の組み合わせと量の変化に起因する「薬物-添加剤相互作用」や「添加剤-細胞膜相互作用」を示すことができれば、併用薬物の変更による吸収性(溶出性・膜透過性)の変化に対して、注意喚起を行うための基礎データとなり、さらには後発品の使用推奨において極めて有用なデータとなる。 本研究では、無数に存在する多剤併用療法のうち免疫抑制療法に焦点を当て、多剤併用療法時におけるミコフェノール酸モフェチルの吸収過程(溶出性、膜透過性)に影響を及ぼす医薬品添加剤の同定およびその応用法の開発を行う。
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研究実績の概要 |
本研究では、無数に存在する多剤併用療法のうち免疫抑制療法に焦点を当て、多剤併用療法時におけるミコフェノール酸モフェチル(MMF)の吸収過程(溶出性、膜透過性)に影響を及ぼす医薬品添加剤の同定およびその応用法の開発を目的としている。MMFの後発品への変更による効果の減弱が報告されているが、移植後の免疫抑制療法で用いられるMMFは、単剤で使用されることは稀であり、タクロリムス(TAC)やプレドニゾロン(PDN)などと併用して用いられることが一般的である。後発品への変更によるMMFの体内動態の変化の原因として、MMFやこれら併用薬に含まれている医薬品添加剤が、MMFの溶出性および膜透過性に影響を及ぼしていると仮定し、MMF単独条件に加え、TACやPDNの併用条件におけるMMFの溶出挙動の変化に関して検討を行っている。これまでに、溶出試験第2液において、MMFの溶出挙動が併用薬存在条件により変化することを見出していたが、複数のLotを用いて再度検証を行ったところ、MMFの溶出挙動は、MMF単独とTACやPDN併用条件において有意な変化が認められなかった。したがって、MMFの溶出挙動は、併用薬が存在しても変化が生じない可能性が高いことが示された。一方で、溶出試験第2液での溶出試験後の試験液を用いて、MMFおよびその活性物質であるミコフェノール酸(MPA)の膜透過に対する併用薬の影響を検討したところ、MMF (MPA)の膜透過にも併用薬共存による有意な変化は認められなかった。しかしながら、可溶性添加物のみ含有条件と、可溶性および不溶性添加物含有条件とで、MMF (MPA)の透過量に有意な変化が認められていることから、不溶性医薬品添加物の存在が物理的にMMF (MPA)あるいは細胞膜に作用し、MMF (MPA)の体内動態に影響を及ぼしている可能性を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
溶出試験に関して、予備実験のデータを裏付けるための検討において、予備実験と同じデータが得られなかったことから、同条件における検討を複数LotのMMF、TAC、PDNを用いて繰り返したため、これが最も大きな原因となり進捗は遅れていると言える。さらに、予備実験のデータと比較して、MMFの溶出挙動の変化が小さく、MMFの単独条件と多剤併用条件とで有意な差が認めれられなかったことから、検討条件を再考して検討を行っている。したがって、MMFの溶出挙動に対して、共存する併用薬が影響を及ぼしているかは現段階では不明である。 一方、膜透過試験に関しては、不溶性の医薬品添加剤の有無により、MMF (MPA)の膜透過性が変化することを見出していることから、概ね順調であると言える。
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今後の研究の推進方策 |
溶出試験に関しては、現条件(MMF、TAC、PDN:それぞれ1カプセル(錠))では、MMFの溶出挙動に変化が生じない可能性が高いため、本条件での検討を終了し、より臨床条件に近い条件での検討を行う。臨床での投与量を考慮すると、より多量の医薬品を服用することから、「MMF:2カプセル、TAC:1カプセル、PDN:6錠」のような、それぞれ1カプセル(錠)ずつではなく、「多量摂取条件」における溶出試験を計画している。 MMF (MPA)の膜透過に関しては、現在の条件で医薬品添加剤の影響が見出されていることから、可溶性成分および不溶性成分の量や種類により、MMF (MPA)の膜透過性に変化が生じるか否かに関して、引き続き、より詳細な検討を行う予定である。一方で、上述の多量摂取条件における溶出試験液を用いての実験も計画している。
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