研究課題/領域番号 |
22K06779
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
|
研究機関 | 明治薬科大学 |
研究代表者 |
松井 勝彦 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (20257140)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | アトピー性皮膚炎 / ランゲルハンス細胞 / 黄色ブドウ球菌 / ベタメタゾン / ジョサマイシン / テトラサイクリン / 表皮ブドウ球菌 / Th2免疫応答 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の達成に向けた具体的な研究計画の概要は、以下の通りである。 1)重症アトピー性皮膚炎(AD)に対して、ステロイド薬のベタメタゾンに抗生物質のジョサマイシンまたはドキシサイクリンを組み合わせた2剤併用療法の治療効果を評価し、治療条件を確立する。 2)重症ADに対して、表皮ブドウ球菌移植の治療効果についても、生菌移植と死菌移植に分けてその有効性を評価し、治療条件を確立する。 3)抗生物質とステロイド薬の2剤併用療法後、表皮ブドウ球菌の皮膚移植療法に切り替え、そのタイミングを含めた重症ADに対する最良の治療条件を確立する。
|
研究実績の概要 |
ジョサマイシンおよびドキシサイクリンは、アトピー性皮膚炎(AD)患者の皮膚病変部に常在する黄色ブドウ球菌の排除に加えて、表皮に局在するランゲルハンス細胞(LCs)の抗原提示能を制御する。本研究では、これらの抗生物質とステロイド薬のベタメタゾンを併用した外用療法に、表皮ブドウ球菌の皮膚移植を組み合わせることで、ステロイド薬単独での治療に抵抗性を示す重症ADの根治を目指した新たな治療戦略を臨床サイドに提案することを目的とした。 本研究目的を達成するためにNC/Ngaマウスに誘導した重症AD様皮膚病変に対して、ベタメタゾンとジョサマイシンまたはドキシサイクリンを組み合わせた2剤併用療法の治療効果を評価した。その結果、0.1% ベタメタゾンに0.1% ジョサマイシンを組み合わせた時の治療効果が最も優れていた。0.1% ベタメタゾンに0.1% ドキシサイクリンを組み合わせた時の治療効果は、急性炎症に対してはベタメタゾンとジョサマイシンの組み合わせに匹敵していたが、慢性期の炎症に対しては劣っていた。また、0.1% ベタメタゾンに3.0% テトラサイクリンを組み合わせた時の治療効果も、ベタメタゾンとドキシサイクリンの組み合わせ時と同じ挙動を示した。 続いて、重症ADに対する表皮ブドウ球菌移植の治療効果についてもその有効性を評価した。その結果、表皮ブドウ球菌の生菌を単独で移植した場合でも、急性期から慢性期にかけての皮膚炎に対して優れた治療効果を発揮することが明らかとなった。 以上の結果は、ステロイド薬単独ではコントロールできないほどの重症ADに対して、ベタメタゾンとジョサマイシンの2剤併用療法は優れた治療効果を発揮し、そこに表皮ブドウ球菌移植を組み入れることでADの根治を期待できる可能性を示した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
試験予定のジョサマイシンまたはドキシサイクリンをベタメタゾンと組み合わせて2剤併用外用薬とし、NC/Ngaマウスの重症アトピー性皮膚炎 (AD)様皮膚病変への治療効果の判定を行った。その結果、ベタメタゾン単独または抗生物質単独よりもジョサマイシンとベタメタゾンの組み合わせが最も治療効果が高いことを確認した。また、実際の臨床現場で使用されているテトラサイクリン外用剤をベタメタゾン外用剤と組み合わせて用いても、その治療効果はジョサマイシンとベタメタゾンの組み合わせには及ばなかった。 次に、健常人の皮膚常在菌である表皮ブドウ球菌の生菌を用いてNC/Ngaマウスの重症AD様皮膚病変への治療効果判定を行い、同菌の皮膚移植がAD治療に有効であることを確認した。 このように当初予定していた実験を全て完了し、一定の成果を得たことから、本研究はおおむね順調に進展しているものと判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
表皮ブドウ球菌の生菌とUV照射死菌を用いてNC/Ngaマウスの重症AD様皮膚病変への治療効果の比較検討を行い、同菌による最も効果的な皮膚移植法を確立する予定である。また、皮膚移植に用いる菌量や皮膚移植期間についても検討を加える予定である。 さらに、ベタメタゾンとジョサマイシンの2剤併用療法後に表皮ブドウ球菌の菌移植を組み入れた場合の治療効果についても検討を加え、最も治療効果が上がる条件を各治療期間も含めて明らかにする予定である。
|