研究課題/領域番号 |
22K06800
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48010:解剖学関連
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
中倉 敬 帝京大学, 医学部, 准教授 (60568658)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 有窓型毛細血管 / 孔 / 下垂体 / 分泌性因子 / フェネストラ / アクチン / ダイナミン |
研究開始時の研究の概要 |
毛細血管は生体内における物質交換の場であり、その構造的特徴からいくつかのタイプに分類される。その一つである有窓型毛細血管は、物質交換が盛んな内分泌器官やがん組織などに分布し、その壁には血管内外を貫く多数の「孔」が開口している。孔はホルモンなどが血管内外を出入りする際の通路として機能するが、その構築や維持に関する分子機序の全貌はいまだ不明である。有窓性の調節機序の解明は基礎医学的知見の提供にとどまらず、がんをはじめとした各種疾患に対する新しい治療戦略の確立にも応用可能となる。そこで本研究では、孔の形成および維持機構の解明を目指し、分泌性因子に着目して研究を展開する。
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研究実績の概要 |
有窓型毛細血管は物質交換が盛んな内分泌器官やがん組織などに分布し、その壁には血管内外を貫く多数の「孔」が開口している。孔はホルモンなどが血管内外を出入りする際の通路として機能するが、その構築や維持に関する分子機序の全貌についてはいまだ不明点が多い。このような中で、本研究は孔の形成および維持機構の解明を目的として、ラット下垂体有窓型内皮細胞で特徴的に発現する分泌性因子やその刺激で発生する細胞内イベントと有窓性調節の関係性について解析を進めている。 昨年度までに、細胞骨格を構成するアクチン線維と細胞膜の切断を担うダイナミン2の相互作用が孔数のコントロールに重要であることを報告している(Cell Tissue Res. 390: 441-451. 2023)。一方で、これらはカベオラエンドサイトーシス(CME)にも不可欠な調節因子であることから、孔の形成調節とCMEには共通の経路が関わる可能性がある。そこで本年度は、孔の調節とCME経路の関係を明らかにするため、培養下垂体内皮細胞をCME抑制剤GenisteinおよびCME促進剤オカダ酸で処理した際の有窓性の変化を、孔マーカーPLVAPに対する蛍光免疫染色と走査型電子顕微鏡観察により調べた。以上の結果から、CMEの調節経路が孔数の制御に寄与していることが明らかとなり、論文としてまとめて報告することができた(Biochem Biophys Res Commun. 675:177-183. 2023)。これまでの成果により、分泌性因子が内皮細胞内部のエンドサイトーシス調節経路を制御することで有窓性を調節している可能性が考えられることから、今後も引き続き有窓性の調節に関わる主要分泌性因子の特定とその機能やシグナル伝達経路の解明を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、毛細血管における有窓性調節とカベオラエンドサイトーシス経路の関係性を明らかにし、原著論文として発表することができた。また、有窓型内皮細胞の形態に影響を及ぼす興味深い分泌性因子も見出していることから、研究計画はおおむね順調に進んでいると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き、培養下垂体有窓型内皮細胞を用いた有窓性調節因子に関する解析を進める。分泌性因子のリコンビナントタンパク質を用いて細胞を刺激し、蛍光免疫染色による形態評価や、細胞膜の超微細構造を走査型電子顕微鏡で観察することでその変化を調べる。また、ターゲット因子やその受容体に対するsiRNAやレンチウィルスを利用した遺伝子発現増減実験も実施し、有窓性を調節する分泌性因子であることを、実験的に証明する。
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