研究課題/領域番号 |
22K06802
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48010:解剖学関連
|
研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
水谷 健一 神戸学院大学, 薬学研究科, 特命教授 (40469929)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | 血管新生 / 内皮細胞 / 脳血管 / プロテオグリカン |
研究開始時の研究の概要 |
私たちはこれまで、VEGFR2陽性の毛細血管が加齢と共に優先的に劣化することを見出している。興味深いことに若齢脳ではコンドロイチン硫酸型プロテオグリカンの一種アグリカンがVEGFR2陽性の毛細血管で優先的に発現し、強い血管新生促進作用を示すことを確認しているが、アグリカンがVEGFシグナルを如何に利用して血管新生を調節するのかは不明である。本研究では、脳血管周囲に発現するアグリカンがどのように血管新生に寄与するのかを免疫組織学・生化学解析やアグリカン変異マウスを用いて明らかにする。これにより、脳血管網形成に必要とされる細胞外環境の一端が明確化されることが期待される。
|
研究実績の概要 |
プロテオグリカンは、増殖因子と相互作用し、細胞増殖・分化・形態形成といった細胞活動を制御する細胞間情報伝達を担う分子として、様々な組織・病態で広く研究されている。本研究では、アグリカンの脳血管における発現様式や、血管新生に関する働きを明確化することを研究の目的とした。本年度は、血管可視化マウスを用いて、アグリカンの発現局在を解析し、血管形成においてアグリカンが重要な役割りを果たすことを見出した。そこで、HUVEC(臍帯内皮細胞)やHBMEC(脳毛細血管内皮細胞)の培養系を用いて、内皮細胞の増殖・遊走・分化にアグリカンがどのように利用され、その作用にVEGF(血管内皮細胞増殖因子)やbFGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)などの増殖因子との如何なる相互作用が寄与するかを評価したところ、アグリカンはbFGFの影響はあまり受けないが、VEGF共存下で強い血管新生促進作用を示すことが明らかとなった。さらには、血管可視化マウスの脳スライス培養を用い、アグリカン型プロテオグリカンを添加し、その作用をタイムラプスでライブイメージング解析したところ、アグリカンが内皮細胞の血管先端細胞の移動を優位に促す働きがあることが確認された。加えて、生化学実験によって、アグリカンを血管内皮細胞に作用させると、VEGF受容体の下流分子が活性化させることが明らかとなった。以上のことから、発生・発達過程の脳組織では、毛細血管周囲に局在するアグリカンが重要な細胞外マトリックスとして機能し、VEGFシグナルを制御することで、血管形成に寄与する可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画どおり、組織染色、培養細胞、ライブイメージング、生化学実験などの多面的な実験によって、アグリカンの血管新生促進作用を明らかにすることができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
今後、アグリカンの自然発症先天異常KOマウスの解析を加えると共に、傷害を受けた組織の血管化にアグリカンがどのような役割を果たすかを評価する。
|