研究課題/領域番号 |
22K06808
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48010:解剖学関連
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
本橋 力 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 講師 (40334932)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ダイレクトリプログラミング / 上皮-間葉系転換 / EMT / 間葉系細胞 / 乳腺上皮細胞 / エピジェネティクス / ダイレクト リプログラミング / 上皮間葉転換 / 間葉系 / 体細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、上皮間葉転換(EMT)を利用して、様々な体細胞を全く別の細胞に直接転換(ダイレクト リプログラミング)することである。現在、ダイレクト リプログラミングは一部の細胞でしか起こすことができず、様々な細胞を利用することはできない。そこでEMTを起こして元の細胞の拘束性が失われた間葉系状態にすれば、どんな細胞でも簡単にダイレクト リプログラミングするのではないかと考えた。本研究によりあらゆるタイプの細胞のダイレクト リプログラミングが可能になれば、この技術の医療への応用が大いに期待できる。
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研究実績の概要 |
令和4年度においては、以下の2つの研究を行った。 研究1 EMT現象によるゲノムのエピジェネティック状態変化の解析:EMTが起きるとゲノムにエピジェネティック変化が生じ、それにともなって転写の活性が高いクロマチン状態に変化するのではないかと考え、マウス乳腺上皮細胞NMuMGを用いてその検証を行った。NMuMG細胞にEMT関連転写因子(4EMT-TFs)をレトロウィルスにより感染・過剰発現させてEMTを起こし、経日的に細胞をサンプリングし、Histone H3の9番目のLysのTri-Methylationに対する抗体(抗H3K9me3)とHeterochromatin associated proteins 1γ(HP1γ)に対する抗体(抗HP1γ)で免疫染色してクロマチン状態を解析した。一般に転写の活性が高いユークロマチン状態ではH3K9のTri-MethylationとHP1γは減じているといわれているが、EMTの前後でNMuMG細胞の核内の抗H3K9me3陽性率と抗HP1γ陽性率に違いは見られず、両者が減じている証拠は得られなかった。最近では、転写の活性が高いユークロマチン状態でも両者にはあまり変化はないという報告もあるため、違う指標も組み合わせてクロマチン状態の比較解析を行う予定である。 研究2 EMT現象を利用したダイレクトリプログラミング法の検討:我々はこれまで神経堤細胞へのダイレクトリプログラミングの研究を通して、EMT現象が細胞にダイレクトリプログラミングされやすい環境を提供している可能性について検討してきた。本年度は、このことを乳腺上皮細胞の心筋細胞へのダイレクトリプログラミングで検証することを計画し、心筋細胞へのダイレクトリプログラミングに必要な転写因子のレトロウィルスベクターの構築と感染条件の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
EMTによるクロマチン状態変化の解析では、免疫染色の条件設定に予定以上の時間がかかってしまった。EMT現象を利用した心筋細胞へのダイレクトリプログラミング法の検討では、導入する転写因子のレトロウィルス感染法や転換に用いる細胞培養法の検討に時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
クロマチン状態の変化を容易に判定できる免疫染色による解析法の検討を引き続き行い、EMTの前後でのオープンクロマチン状態の解析の簡素化をめざす。また同時に転写調節域のCpGアイランド(CGI)のメチル化の変化を網羅的に解析できるReduced Representation Bisulfite Sequencing(RRBS)法の準備も行い、多くの遺伝子のCGIでEMT後に低メチル化している証拠を見つけ出す。 EMT現象を利用した心筋細胞へのダイレクトリプログラミング法の応用検討では、心筋細胞のマスター遺伝子の感染条件を詰め、転換・培養条件、EMT発生のタイミング等を検討し、具体的に直接転換に着手する。
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