研究課題/領域番号 |
22K06810
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48010:解剖学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
二井 偉暢 九州大学, 医学研究院, 助教 (10743990)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 着床 / 多能性変遷 / 初期胚発生 |
研究開始時の研究の概要 |
哺乳類胚は着床を境に形態と遺伝子発現を大きく変動させて胎内での発生に備えるが、着床は子宮内で起こるため、胚の着床前・後での上記変化の多くは明らかになっていない。 申請者は、着床の現象そのものが胚の形態変化と遺伝子発現変化をもたらすことを見出しつつあり、本研究では申請者が独自に開発した「in vitro着床モデル」を用いて、メカニズムを明らかにする。 本研究で得られた知見は着床と胚発生の新たな発生原理につながり、着床に関連した病態や不妊症治療等の研究に貢献できるものと期待する。
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研究実績の概要 |
将来の体を生み出す多能性をもつ細胞は着床前の内部細胞塊とこれに続くエピブラストに存在する。発生初期の多分化能は、胚組織を分離培養して樹立される培養細胞でも維持することが可能であり、着床前胚エピブラストからは胚性幹細胞 (ESC) が、着床後胚エピブラストからはエピブラスト幹細胞 (EpiSC) が樹立され、これら多能性幹細胞を用いた多能性制御機構の研究が世界中で精力的に進められてきた。哺乳類胚は着床を境にエピブラストの形態と多能性制御機構を大きく変動させて胎内での発生に備えるが、着床は子宮内で起こるため、胚の着床前・後での形態変化と多能性変遷の関係の多くは明らかになっていない。申請者は、着床の現象そのものがエピブラストの形態変化と多能性の変遷をもたらすことを見出しつつあり、本研究では申請者が独自に開発した「in vitro着床モデル」を用いて、着床がエピブラストの形態変化と多能性の変遷をもたらすメカニズムを明らかにする。 本研究は多分化能の制御機構を理解する研究のうち、多能性の変遷を着床現象に求めている点でユニークである。本研究で得られた知見は着床と胚発生の新たな発生原理につながり、着床に関連した病態や不妊症治療等の研究に貢献できるものと期待する。 2022年度では着床前・後に起こる胚への着床シグナル、エピブラストの形態変化(極性化)、および多能性変遷の因果関係を明らかにするため、エピブラストの形態変化と多能性変遷を可視化するレポーターマウスの作製、および子宮内での着床前後の形態変化を可視化する組織透明化とその観察法の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エピブラストの形態変化と多能性変遷を可視化するためレポーターマウスの作製を行った。既存のレポーターマウスは半減期の長い蛍光タンパク質をもつため、マーカー遺伝子の発現変化とのタイムラグが問題となる。そこで蛍光タンパク質に分解配列PESTを付加した。また、1細胞レベルでの詳細な解析を行うため核移行シグナルをレポーターに付与を行った。CRISPR-Cas9システムを用いてNanogレポーターマウスを作製し、Nanogの発現パターンとの相関性を確認した。 また、子宮内での着床前後の形態変化を可視化するためCUBICによる組織透明化と染色方法の検討を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後は初年度に作製したレポーターマウスを用いることでエピブラストの形態変化と多能性変遷の解析を行う。具体的には着床前後の胚の網羅的な遺伝子発現解析によって多能性変遷に関与するシグナルの解析、およびライトシート顕微鏡による透明化した子宮組織内でのエピブラスト形態変化の解析を行っていく。
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