研究課題/領域番号 |
22K06819
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48010:解剖学関連
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
折井 みなみ 昭和大学, 医学部, 助教 (60792645)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ミステリン / もやもや病 / 脂肪滴 / RNF213 |
研究開始時の研究の概要 |
もやもや病は日本を初めとする東アジア圏の子どもに多く見られる原因不明の脳血管疾患である。内頸動脈終末部の閉塞により脳血流が障害され、脳梗塞および周辺に形成される側副血行路(もやもや血管)からの脳出血が引き起こされる。もやもや病の原因遺伝子産物であるミステリン(別名RNF213)は運動性のATPアーゼ活性とタンパク質ユビキチン化活性を持つ巨大な酵素であり、細胞内の脂質貯蔵場所である脂肪滴に局在して脂質代謝を制御する。ミステリン機能破綻による代謝異常および細胞・組織障害のメカニズムを明らかにし、もやもや病分子病態の解明を進める。
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研究実績の概要 |
もやもや病は脳への主要な血液供給路である内頸動脈の終末部において狭窄・閉塞を生じる原因不明の脳血管疾患であり、日中韓を含む東アジア圏の小児に多くみられる。もやもや病の原因遺伝子産物はミステリン(別名RNF213)と呼ばれ、巨大なタンパク質内部にAAA+ ATPaseドメインと、RINGフィンガーおよびRZフィンガーという二つのユビキチンリガーゼドメインを持つ。野生型のミステリンは細胞内の脂質貯蔵庫である脂肪滴に局在し、脂質の安定化に働いているが、白人もやもや病患者において発見されたユビキチンリガーゼドメイン内の変異を持つ変異型ミステリンは、脂肪滴には局在せずサイトゾル内に凝集を形成し、かつ炎症反応を惹起することがわかった。この凝集形成のメカニズムについて検証を行い、一端を明らかにすることができた。さらに東アジア圏における主要なもやもや病関連変異であるR4810K変異を持つ変異ミステリンの挙動についてもいくつかの新たな知見を得た。 これまでR4810K変異のノックインマウスやトランスジェニックマウス、ミステリンノックアウトマウスを用いた個体の解析は行われてきたものの、もやもや病に相当する変化を含め、著明な異常は認められず、もやもや病の発症メカニズムは未だ謎のままである。我々は独自のもやもや病モデルマウスの開発に着手し、頭蓋内や全身の血行動態の観察による血管障害の探索、さらには血管内皮や平滑筋細胞内での凝集体や免疫細胞との相互作用などの観察を行うとともに、細胞・個体から得られた知見をもとに治療法の開発を試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
白人患者変異型ミステリンが細胞質内に凝集体を形成するメカニズム、および炎症反応を惹起するメカニズムの検証、そしてもやもや病モデルマウスにおける血行動態の検証ともに概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
細胞内における変異型ミステリン凝集体の形成メカニズムをもとに、もやもや病モデルマウスにおける血管内皮や平滑筋細胞の挙動を検証する。さらに頭蓋内や全身の血行動態と関連づけながら、免疫細胞群の関与にも着目して解析を進めるとともに、治療法の探索を行なう。
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