研究課題/領域番号 |
22K06820
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48010:解剖学関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
城所 比奈子 同志社大学, 研究開発推進機構, 助教 (70747378)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 心臓管形成 / 左右非対称 / ループ形成 / Nodal / ライブイメージング / 形態形成 / 心臓形成 / 細胞挙動 |
研究開始時の研究の概要 |
胚発生期において、心臓は初めまっすぐな管として形成されるが、心臓原基の左側に発現するNodalが管を回転させることでループ構造を形成し、血液循環に必要な左右非対称形態を獲得する。しかし、Nodalが個々の細胞内でどのように作用し、細胞や組織にどのような左右差をつくりだすことによって回転を駆動するかは、ほとんど理解されていない。本研究では、高解像度生体イメージングによって、単一細胞スケールの挙動と、それによって引き起こされる組織変形をリアルタイムに捉え、Nodalが細胞挙動を制御して組織・器官スケールの左右性を創出する仕組みを解明する。
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研究実績の概要 |
心臓管形成過程の高解像度イメージングを実施し、4D画像データから1細胞スケールの変化と組織スケールの変形を抽出して定量する方法を確立した。これによって分子、細胞、組織の各階層における変化の相関を解析することが可能となった。この方法を用いて心臓管形成を解析すると、本過程において細胞増殖や細胞死はほとんど起こっていないこと、心臓原基の形態変化のほとんど全てが細胞配置換えと細胞変形によって引き起こされていることがわかった。興味深いことに、Nodalを発現する細胞集団ではこれらの細胞挙動がいずれも亢進しており、これによって左側原基の変形量が増大することを見出した。しかし、この細胞と組織の左右差が、管の回転によって左右原基が非対称に歪んだ結果、2次的に生じた可能性も考えられたため、左右原基の融合を阻害して、両者を等しい条件下で比較することでこれを検証した。その結果、融合阻害心臓においても同様の左右差が観察され、これらが内在的な左右性であることを確認できた。さらにNodalシグナルを阻害するとこれらの左右差は消失し、心臓管回転も起こらなくなった。これらの結果は、Nodalが細胞配置換えや細胞変形を促進し、上皮シートである心臓原基の変形量に左右差をつくりだすことによって心臓管を回転させることを示唆している。これまでNodalは左側細胞の細胞移動を促進することで管を回転させるとされていたが、本研究の結果は、Nodalが上皮形態形成に作用して管の回転運動を引き起こすという、全く新しいメカニズムを提唱している。そこで次にNodalシグナルの下流メカニズムを調べる目的で、配置換えや細胞変形の制御に重要な役割を果たすカドヘリンとミオシンの可視化を試みた。DNA注入によって蛍光標識したこれらのタンパク質を心臓原基特異的に発現させたが、導入される細胞数が少なく有意義な結果を得るに至らなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞および組織レベルの変化を定量する方法を確立し、今後の解析の基盤をつくることができた。また、本研究の基礎となるアイディアを立証することができた。
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今後の研究の推進方策 |
DNA注入による導入効率が低いため、蛍光標識したカドヘリンやミオシンを心臓細胞で安定的に発現するトランスジェニック系統を作成する。これを用いて心臓管形成におけるこれらの分子の挙動を左右性の観点から解析する。トランスジェニック系統を樹立するまでの期間は抗体染色などを用いて解析を進め、進捗に遅れが生じないように努めたい。
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