研究課題/領域番号 |
22K06822
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48010:解剖学関連
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
北田 容章 関西医科大学, 医学部, 教授 (80324614)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 脊髄損傷 / 有尾両生類 / 遺伝子組換え / 細胞運命追跡 / 神経細胞新生 / 神経再生 / 再生生物学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、成体環境においてほぼ完全な神経機能的再建を果たす成体イモリを用い、新生神経細胞を標識可能とする、あるいは新生神経細胞を人為的に死滅させることの可能な遺伝子改変成体イモリを作出し、神経細胞新生の意義を問う。また、"成体型再生"におけるより強力な神経細胞新生誘導因子の同定や、三次元的組織再構築を担う細胞の同定も行う。本研究により、これまで成体イモリの脊髄損傷研究では用いられてこなかった近代的な実験手法を適用することで、"成体型再生"特有の再生様式の本質的な意義や鍵となる分子を明らかとし、ヒト脊髄損傷の新たな再生戦略や新規治療法の創造への波及効果を狙う。
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研究実績の概要 |
哺乳類に比し魚類や両生類は高い再生能を有することが知られ、中でも有尾両生類の1種であるイモリは成体においても自発的に生じる再生により様々な臓器・器官の解剖学的・機能的再建を果たすことが知られている。本研究では、イモリの脊髄損傷後の解剖学的・機能的再建のメカニズムに迫ることを目的としている。再生生物学における臓器・器官の再生は幼生型・成体型に分類可能とされ、イモリはその両方が可能である。前者では幹・前駆細胞が主たる役割を果たすのに対し、後者では成熟細胞の脱分化が重要とされる。この再生機構が幼生型から成体型へと移行する時期を特定するため、脊髄に存在する特定の分裂細胞についてその発生・発達時系列における数の変化に着目した実験を行ったところ、特定の時期においてその数が有意差をもって減じることが明らかとなった。すなわち、この時期をもって幼生型から成体型へと移行するものと考えられた。次に、イモリ脊髄再生における解剖学的・機能的再建において特に重要と考えられる神経細胞新生の意義を検討するため、新生神経細胞の蛍光標識を可能とする実験系、および新生神経細胞を死滅させる実験系として、それぞれダブルトランスジェニックイモリを作成した。F2動物を効率的に得ることに多少苦労しており、効率化のための環境整備を行った。更に、イモリ脊髄損傷における自発的再生に寄与する遺伝子について、トランスクリプトーム解析その候補となる30遺伝子を同定した。これらの遺伝子についてin situ hybridizationによりその局在を明らかとすると共に、随時ノックアウトイモリを作成しその表現型解析を元とした機能解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新生神経細胞の蛍光標識を可能とする実験系、および新生神経細胞を死滅させる実験系として、それぞれダブルトランスジェニックイモリ作成実験について、作成そのものは比較的順調に進んだが、F2動物において導入遺伝子の発現が観察されない個体が散見され、効率が落ちている。一方で、申請時の計画に先駆け、脊髄再生に寄与する再生遺伝子の同定については随時ノックアウト個体を得ることができており、これらの表現型解析も解析しつつある。全体としては少しの遅れとして認識している。
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今後の研究の推進方策 |
ダブルトランスジェニックイモリのF2動物の作成については、飼育環境の整備を行うことで良い卵を得ることが可能となるものと考えられる。広島大学両生類研究センターに設置されたツメガエル・イモリナショナルバイオリソースプロジェクトの力添えをいただき、これを進める。再生候補遺伝子については、これら遺伝子の正常脊髄および損傷脊髄における発現様式と、ゲノム編集によるノックアウト動物作成とその表現型解析を進める。
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