研究課題/領域番号 |
22K06824
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48010:解剖学関連
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
松井 利康 岡山理科大学, 獣医学部, 准教授 (90531343)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 運動ニューロン / 脳神経運動核 / 脳幹網様体 / コリン作動性ニューロン / 介在ニューロン / プレモーターニューロン / アセチルコリン / セロトニン |
研究開始時の研究の概要 |
「哺乳類は咀嚼する脊椎動物」と言われるように,咀嚼はヒトを含めた哺乳類の生命活動に重要なパターン運動である.咀嚼には運動ニューロンの協調が必要であり,その活動調節・連携にプレモーターニューロンが出力細胞として機能する.一方,脳幹とくに網様体は複雑な入出力系をもち,咀嚼のパターン運動形成におけるプレモーターニューロンの神経回路には不明な点が多い.本研究は,コリン作動性およびセロトニン作動性プレモーターニューロンに注目し,脳幹のパターン運動形成機構におけるプレモーターニューロンの回路内での位置づけや情報伝達機序を,解剖学的視点から解明することを目的とする.
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研究実績の概要 |
咀嚼には脳幹の運動ニューロンの協調活動が必要であり,その調節・連携にプレモーターニューロンが出力細胞として関与する.脳幹網様体にはコリン作動性やセロトニン作動性のプレモーターニューロンが分布し,脳神経運動核の運動ニューロンに連絡する.本研究ではまず,コリン作動性プレモーターニューロンに注目し,咀嚼運動の発達が起こるマウス胎子期から生後発達期において,そのシナプス形態と機能分子発現の変化を調べた.胎齢17日の脳神経運動核においては,プレモーターニューロンに由来するコリン作動性終末が運動ニューロンに接してごく少数存在した.その終末数は生後0日,4日,8日と経時的に増加が見られた.また,胎齢17日において脳神経運動核の亜核をニッスル染色により区分し,各亜核の運動ニューロンあたりのコリン作動性終末数を比較したところ,その出現時期と数が三叉神経運動核の内側亜核と外側亜核で異なっていた.現在,マウス胎齢・日齢の解析対象を広げるとともに,シナプス後部となる運動ニューロンにおける受容体発現などを解析している. セロトニン作動性プレモーターニューロンについては,脳幹網様体に逆行性トレーサーを注入し,注入部位と神経連絡をもつセロトニン作動性ニューロンを探している.また合わせて,運動ニューロンおよびコリン作動性プレモーターニューロンに入力するセロトニン作動性終末を免疫組織化学で標識し,セロトニン作動性神経が運動ニューロンの活動調節に関与するか形態学的解析を行なっている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウス生後発生期に加えて,胎児期の脳神経運動核におけるコリン作動性神経終末(C-terminal)の機能解析を免疫組織化学を中心に行なった.当初計画のとおり,運動ニューロンに対するコリン作動性入力の解析は進んでいる.セロトニン作動性プレモーターニューロンと脳神経運動核運動ニューロンとの神経連絡に関しては,現在神経トレーサーを用いた解析を行なっているが,やや計画より研究が遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
胎児期および生後発生期において,脳神経運動核運動ニューロンに対するコリン作動性シナプスの分子発現変化と機能成熟が明らかになってきた.次年度も引き続き,コリン作動性シナプスの機能分子の発現解析を継続するとともに,セロトニン作動性シナプスの分子発現も検討する予定である.また,神経活動マーカーのcFosまたはArcの発現に基づいて,コリン作動性またはセロトニン作動性のプレモーターニューロンがどの発生時期から活動するのか解析を進める.コリン作動性プレモーターニューロンに対するセロトニン作動性投射の可能性についても検討する計画である.
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