研究課題/領域番号 |
22K06827
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48020:生理学関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
清水 貴浩 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 准教授 (40353437)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | イオンチャネル / ミトコンドリア / チャネル / 蛋白質間相互作用 / 原形質膜 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、様々な細胞機能の制御において、ミトコンドリアの動態や他の器官との機能連関が着目されてきているが、原形質膜とミトコンドリアの近接機構については知られていない。本研究では、原形質膜とミトコンドリア外膜に局在する蛋白質間相互作用が細胞の生死に関わるイオンチャネル機能を制御するメカニズムを解明するとともに、病態における原形質膜とミトコンドリアのクロストークの役割について明らかにする。
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研究実績の概要 |
これまでの研究で容積感受性外向き整流性(volume-sensitive outwardly rectifying: VSOR)アニオンチャネル活性には、ミトコンドリアに発現している swelling-sensitive molecule A (SSM-A: 仮称)と原形質膜に発現している leucine-rich repeat-containing 8A(LRRC8A)とが近接していることが重要であることを明らかにしている。ミトコンドリアはその動態や細胞内局在をダイナミックに変化することから、本年度はミトコンドリアの動態や局在とVSORアニオンチャネル活性との相関について検討した。ヒト口腔類表皮がんKB細胞にミトコンドリア動態を制御するmitochondrial fission protein 1(Fis1)を過剰発現したところ、細胞質全体に分布していたミトコンドリアが核周辺に集積した。この際、近接ライゲーションアッセイにより観察できるLRRC8AとSSM-Aの近接シグナルだけでなく、パッチクランプ法により観測できるVSORアニオンチャネル電流が有意に減少した。また興味深いことに、ミトコンドリア阻害剤を短時間処理したKB細胞においても、細胞質全体に分布していたミトコンドリアが原形質膜周辺から離れ、細胞内に凝集することを見出した。この条件下においても、LRRC8AとSSM-Aの近接シグナルが減少し、VSORアニオンチャネル機能が抑制された。これらの結果から、VSORアニオンチャネル機能は、ミトコンドリアの動態および局在により厳密に制御されており、その機能分子形成には原形質膜とミトコンドリアとの近接が必須であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究において、容積感受性外向き整流性アニオンチャネルの機能分子形成において原形質膜とミトコンドリアのクロストークが必須であることが示唆された。研究計画は着実に実施されており、成果は順調に得られている。
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今後の研究の推進方策 |
容積感受性外向き整流性(VSOR)アニオンチャネルは、アポトーシス性細胞死の初期に生じる細胞縮小に必須であることから、細胞の生死を制御するイオンチャネルであると考えられている。今後は、このアポトーシス性細胞容積縮小過程において、VSORアニオンチャネル機能分子形成に重要な原形質膜とミトコンドリアのクロストーク機構がどのように関与しているのかについて検討する予定である。
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