研究課題/領域番号 |
22K06834
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48020:生理学関連
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
西谷 友重 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (50393244)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | カルシウムシグナル / 肥満 / エネルギー代謝 / 運動療法 / カルシウム |
研究開始時の研究の概要 |
近年、細胞内Ca2+シグナルと肥満調節との関連が示唆されている。申請者らは、細胞内Ca2+センサーNCS-1の全身欠損(KO)マウスの解析から、KOマウスが顕著な肥満に陥ること、その原因として全身エネルギー代謝が低下していること、抗肥満分子レプチンの下流にある可能性も浮上している。しかし、NCS-1によるエネルギー代謝調節機構およびCa2+シグナルとの関連、レプチンとの関係については全く不明である。本研究では、野生型、KOマウスを比較して、全身代謝、Ca2+シグナルに相違が認められるか、NCS-1の標的因子を含めた関連シグナルに関し、生化学的・生理学的解析により明らかにする。
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研究実績の概要 |
肥満は心筋梗塞や脳卒中など命にも関わる疾患の原因となり得るため、制御機構の解明は必須である。近年、細胞内Ca2+シグナルと肥満調節との関連が示唆されている。申請者らは、細胞内Ca2+シグナル調節因子であるNCS-1(Neuronal Ca2+ Sensor-1)の全身欠損(KO)マウスの解析から、①KOマウスが顕著な肥満に陥ること、②その原因として、ミトコンドリア機能不全を伴う全身エネルギー代謝が低下していること、③NCS-1が褐色脂肪組織及び白色脂肪組織にも発現していることを見出している。しかし、、NCS-1によるエネルギー代謝調節機構とCa2+シグナルとの関連、褐色、白色脂肪におけるNCS-1の肥満制御における役割と標的因子、さらに治療法については全く不明である。本研究の目的は、エネルギー代謝調節に関わるNCS-1の標的分子同定を含め、Ca2+シグナルとの関連を解析し、NCS-1を介する新規肥満抑制経路および治療法を明らかにすることである。 これまでの研究で、NCS-1を介したエネルギー代謝関連シグナルを褐色及び白色脂肪組織で明らかにするため、NCS-1欠損(KO)および野生型(WT)マウスの両脂肪組織を用いて網羅的な生化学的解析を行い、どの代謝産物が増減しているか明らかにした。また細胞内 Ca2+に関連する各種代謝シグナルに関し、リン酸化の程度や発現量などをWestern blotで確認し、関連シグナルが明らかになりつつある。 有酸素運動の効果を検討し、KOマウスでも運動療法により肥満が軽減することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度までにNCS-1が褐色及び白色脂肪組織に発現していることを明らかにし、本年度はこれら組織を用いて、KOマウスでどのような代謝産物が増減しているか、メタボローム解析を用いて明らかにした。また、Ca2+シグナルとの関連を解析したところ、褐色脂肪組織におけるCa2+依存性ミトコンドリア生合成シグナルにNCS-1が関与していることを明らかにした。さらに、有酸素運動によって、NCS-1欠損による肥満が解消されることを見出した。これは運動が、ミトコンドリア生合成を上昇させることに起因すると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
NCS-1は脳神経系をはじめとした様々な臓器に発現していることから、部位特異的な役割がわかりにくい。これを解決するため、現在、部位特異的KOマウスのもととなるFloxマウスを作製中である。今後は、褐色脂肪組織や脳、心臓などにそれぞれ特異的に発現するCreマウスと掛け合わせ、NCS-1の臓器特異的な役割を明らかにしていきたい。
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