研究課題/領域番号 |
22K06840
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48020:生理学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
橋本 弘史 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (10454935)
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研究分担者 |
吉村 充弘 産業医科大学, 医学部, 訪問研究員 (00464462)
上田 陽一 産業医科大学, 医学部, 教授 (10232745)
安西 尚彦 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (70276054)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | バソプレシン / 高齢 / 概日リズム / 多飲 / オキシトシン / デスクロロクロザピン / 体液 / 低栄養 |
研究開始時の研究の概要 |
飲水と摂食には密接な関係がある。高齢者において、摂食低下による低栄養状態(低アルブミン血症)および体液貯留(慢性心不全)はよく遭遇する病態である。これは、抗利尿ホルモン(バソプレシン)分泌増加による体液貯留と同時に摂食が抑制されている可能性があり、バソプレシンの情報伝達メカニズムに何らかの破綻が起こっていることが考えられる。本研究では、これまでに我々が作出したバソプレシンニューロンを局所的に、かつ、特異的に興奮させる遺伝子改変ラットを用いて、摂食調節における新たなバソプレシンの情報伝達メカニズム、および加齢によるその破綻メカニズムの解明に挑戦する。
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研究実績の概要 |
本研究では、抗利尿ホルモン (バソプレシン : VP)ニューロンを特異的に興奮させることのできる数種類の遺伝子改変動物を用いて、VPの摂食調節機構における役割、および、飲水と摂食中枢におけるVPのネットワーク構築と、加齢による変化を明らかにすることを目的としている。これまでに、長期間、VPニューロンを興奮させ続けた研究はなかったため、デスクロロクロザピン(DCZ)によりVPニューロンを特異的に興奮できるVP-hM3Dq-mCherry Tg ラットを用いて、DCZの持続投与により、VPニューロンを継続的に興奮させ た際の、摂食および飲水行動の変化を見ることとした。 昨年度は、3ヶ月齢のVP-hM3Dq-mCherry Tg ラットに浸透圧ポンプを用いてデスクロロクロザピン(DCZ)(1 mg/week)を1週間投与し、飲水量、摂食量、体温および活動量の変化を記録した。実験開始直後より、継続的にVPニューロンを活性化させたDCZ投与群では、飲水量が有意に減少し、開始4日目には、摂食量も有意に減少していた。体温および活動量は、DCZ投与群では概日リズムが乱れ、特に、暗期後半と明期の後半に体温および活動量ともに有意な差が見られた。 今年度は、高齢(2歳齢)のVP-hM3Dq-mCherry Tg ラットで同様にDCZ(1 mg/week)を1週間投与し、実験を行った。2歳齢においても、DCZ投与群では、飲水量および摂食量の有意な減少が見られた。体温および活動量においては、対照群およびDCZ投与群の両群において、概日リズムの乱れが見られた。また、対照群において、2歳齢は3ヶ月齢と比較し、飲水量の著明な増加が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は、3ヶ月齢のVP-hM3Dq-mCherry Tg ラットを用いて、DCZの1週間の持続投与により、VPニューロンを特異的に継続的に興奮させると、摂食および飲水量を抑制することが分かった。今年度は、高齢(2歳齢)のVP-hM3Dq-mCherry Tg ラットにおいても、DCZの1週間の持続投与により、VPニューロンを特異的に継続的に興奮させると、摂食および飲水量を抑制することを明らかにした。今後、さらに長期間投与した際における、若齢および高齢ラットにおける変化を観察する予定である。他の遺伝子改変ラットを用いた実験については、2歳齢の遺伝子改変ラットの準備をするための飼育スペースの関係もあり、まだ出来ていないが、今後、飼育スペースを確保し、研究を進めて行く予定である。
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今後の研究の推進方策 |
DCZの投与期間を更に延長する予定である。3ヶ月齢および2年齢のVP-hM3Dq-mCherry Tg ラットにおいて、浸透圧ポンプを用いてDCZ(1 mg/week)を2ー4週間持続投与し、体温および活動量の変化を記録し、また、2ー4週間後の血中VP濃度測定をし、脳内のVP動態を免疫組織科学的染色法を用いて調べる予定である。
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