研究課題/領域番号 |
22K06841
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48020:生理学関連
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
竹内 綾子 福井大学, 学術研究院医学系部門, 准教授 (00378704)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ミトコンドリア / カルシウム / トランスポータ |
研究開始時の研究の概要 |
ミトコンドリア内Ca2+はダイナミックに変動しており、細胞のエネルギー源であるATPの産生を調節するとともに、細胞の様々な生理機能を調節する。研究代表者は、脳のミトコンドリアに未同定のCa2+輸送機転が存在することを見出した。本研究では、細胞・オルガネラ生理学実験と数理モデル解析を組み合わせることによって、この新しいミトコンドリアCa2+輸送機転が、神経細胞の生理機能発現にどう関わるかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
抗体磁気ビーズを用いて、純度の高いミトコンドリア単離法を確立した。新たな単離法で得た脳および心筋ミトコンドリアサンプルには、従来の単離法で問題となっていた細胞膜の混入が極めて少ないことを、Western blotにより細胞膜マーカーNa+/K+ ATPase alpha1 subunitを評価することで確認した。 マルチモードプレートリーダーEnSpireを用いた蛍光測定により、純度の高い単離ミトコンドリアCa2+動態の生物物理学的特性を解析した。単離ミトコンドリアにCa2感受性蛍光色素Fluo-8, AMを負荷し、ミトコンドリア内へのCa2+流入特性を評価したところ、心筋と異なり脳ではミトコンドリア膜電位脱分極時においてもCa2+流入システムが存在すること、このシステムがNa+ならびにK+感受性であることを発見した。また、心筋と脳ミトコンドリア膜タンパク質群の網羅的解析を行い、サブトラクションすることによって、それぞれの臓器に特異的に発現する膜タンパク質の候補を複数得た。 Osterらによる簡易神経細胞数理モデル(Frontiers in Computational Neuroscience, 2015)を竹内の数理モデルプラットフォーム上で再構築し、膜興奮・Ca2+変動を計算するとともに、ミトコンドリア機能の実装に取り組んだ。今後、脳のミトコンドリアに特徴的なCa2+輸送特性が、神経細胞においてどのような挙動を示すのか、その生理的意義について評価していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
純度の高いミトコンドリア単離法を確立し、脳のミトコンドリアに特徴的なCa2+輸送の生物物理学的特性を評価するとともに、これを担う候補分子を得られたことから、おおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は令和4年度に引き続き、脳に特徴的なミトコンドリアCa2+輸送の生物物理学的特性について解析を進める。本解析と、ミトコンドリア膜タンパク質群のサブトラクション解析から、新たなミトコンドリアCa2+輸送体の候補分子を複数ピックアップする。これらの分子のゲノム編集培養神経細胞を樹立し、野生株と比較解析することによって、脳に特異的な新規ミトコンドリアCa2+輸送体を同定する。 新規ミトコンドリアCa2+輸送体を介したミトコンドリアCa2+動態-代謝-神経細胞機能連関を解析する。包括的神経細胞数理モデル解析と組み合わせ、モデル予測-実験検証を繰り返すことで、ミトコンドリアCa2+動態を起点とした新たな神経細胞機能制御の分子機序を明らかにする。
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