研究課題/領域番号 |
22K06847
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48020:生理学関連
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
野村 健 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (10706790)
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研究分担者 |
澤田 康之 名古屋大学, 未来社会創造機構, 准教授 (90718355)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 機械受容チャネル / MscL / メカノセンサー / 膜張力 / 分子動力学シミュレーション / タンパク質-脂質相互作用 / パッチクランプ / 大腸菌 / 両親媒性物質 |
研究開始時の研究の概要 |
あらゆる細胞は外界からの機械刺激を感じて応答するが、細胞の機械刺激を感知する分子実体の代表格として機械受容(MS: mechanosensitive)チャネルが知られている。大腸菌にはMscSとMscLと呼ばれるMSチャネルが発現しており、真水などの低張な環境に晒されて菌体が膨張すると活性化閾値の低いMscSから順に開口して水やイオンなどを放出することで細胞の破裂死を防いでいる。しかし、MSチャネルの開閉機構についての詳細は依然として謎が多い。本研究は、機械刺激およびMSチャネルの活性化剤であるクロルプロマジンを用い、その局在による膜張力をどのようにMscLが感知しチャネルを開口へと導くのか、その分子機構を解明することが目的である。
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研究実績の概要 |
本研究では、野生型および突然変異型MscLを用い、MscLの活性化剤であり、両親媒性物質でもあるクロルプロマジン(CPZ)を細胞膜の内外葉に不均等に分布させた場合、それがどのように膜張力の増加に繋がり、2つのメカノセンサー(F7およびF78)の感度を高めチャネルを開口へと導くのか、その分子メカニズムを解明することを目的とする。具体的には、チャネルが開きにくい機能喪失型突然変異体(LOF: loss-of-function mutant)であるF7CおよびF78Hを用いて、細胞膜の内外葉および両葉側からCPZを投与した場合の機械刺激に対する応答をパッチクランプ法を用いて評価する。また、分子動力学シミュレーションを用いた解析結果と電気生理学的実験で得られた結果を比較・照合しMscLのゲーティング機構のモデル構築を目指す。 今年度は、F7CおよびF10Cの突然変異体を作成し、パッチクランプ法を用いて機械刺激感受性の評価を行った。しかし、両突然変異体において、チャネル電流を観察することができなかった。現在、他のアミノ酸に置換した突然変異体を作成中であり、今年度中にはin vivo(低浸透圧ショック実験)およびin vitro(パッチクランプ法)での評価を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今回作成したF7CおよびF10C MscL突然変異体は、チャネルのゲート付近に位置しており、システイン残基同士でジスルフィド結合を形成している可能性が考えられるため、チャネル電流を観察することができなかった。新たにF7およびF10を他のアミノ酸に置換した突然変異体を作成する必要性が生じたことが研究の進捗を遅らせた一因と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は今年度と同様に、F7またはF10 MscL突然変異体を作成し、in vivo(低浸透圧ショック実験)およびin vitro(パッチクランプ法)における機械刺激感受性の評価を行う。また、MscLチャネルの活性化剤であるクロルプロマジンを用いて、細胞膜の外葉に存在するF78および細胞膜の内葉に存在するF7、F10の機能的役割を検証する。
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