研究課題/領域番号 |
22K06848
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48020:生理学関連
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 喜郎 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (40348503)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | カルシウム / TRPチャネル / 母子間輸送 / 新生児副甲状腺機能亢進症 / 慢性膵炎 / 母子間カルシウム輸送 / 新生児期副甲状腺機能亢進症 / ゲノム編集 |
研究開始時の研究の概要 |
カルシウムチャネルTRPV6は上皮におけるカルシウムイオンの一方向性輸送を担っており、同一のTRPV6遺伝子変異であるにもかかわらず新生児期骨疾患と慢性膵炎という全く異なる疾患を発症させる。研究代表者は変異TRPV6チャネルが小胞体に留まっていることを見出し、小胞体ストレスが両疾患発症の共通のカギであると予想した。その仮説を実証するため、本研究ではTRPV6変異体ノックインマウスにおける小胞体ストレスによる炎症の有無を個体レベルで明らかにすることを計画した。これらによって両疾患の根治への道を開く。
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研究実績の概要 |
カルシウムチャネルTRPV6は上皮における一方向性のカルシウム輸送を担い、個体全体のカルシウム恒常性維持に重要な役割を果たしている。TRPV6遺伝子変異によって胎盤における母子間カルシウム輸送が障害され新生児期副甲状腺機能亢進症を発症するが、同種の変異が慢性膵炎のリスクファクターでもあることが近年報告された。本研究では両疾患に共通するTRPV6変異体の解析を通じて疾患発症の分子メカニズム解明を目指す。今年度は両疾患の共通変異の1つであるアンキリンリピートドメイン変異を持つノックインマウスを生理学研究所・遺伝子改変動物作成室において作成し、凍結胚を岩手医科大学動物研究センターへ輸送した。現在、動物研究センターにおける個体化が停止しているが、再開次第、個体化および解析を行う。同時に、in vitro実験系においてリソソーム耐性標識を用いて細胞内におけるTRPV6チャネルの局在を再検討した。その結果、疾患変異体の組み合わせではTRPV6は細胞膜や小胞体にはあまり見られず、リソソームでよく見られるようになった。ウエスタンブロット法ではこの組合せによってTRPV6に相当するバンドが薄くなった。これらのことから疾患変異体の組み合わせでは、何らかの理由によってリソソームにおける分解促進が起こることによって細胞膜上の機能的なTRPV6チャネルが減少することが示唆された。細胞膜上の機能的TRPV6チャネルの減少が疾患発症の原因であると考えられた。今後はリソソームによる分解促進の分子メカニズムを解明し、両疾患の分子メカニズムの全容を明らかにしたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の結果も予想外であったが、解析自体はおおむね当初の予定通りに進んでいる。具体的には生理学研究所・遺伝子改変動物作成室におけるノックインマウスの作成と岩手医科大学・動物研究センターへの凍結胚の輸送、およびin vitro実験系におけるチャネル観察を行うことができた。ノックインマウスの個体化は動物研究センターの都合で停止しているが、開始次第スタートしたい。
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今後の研究の推進方策 |
今後はアンキリンリピート変異体マウスにおいて血中PTH測定および組織切片における骨形成過程の観察を行い、両方がloss-of-functionという組み合わせにおいて新生児期副甲状腺機能亢進症が再現されるかを明らかにする。その後、電子顕微鏡による胎盤の詳細な形態観察に移りたい。また、病態変異の組み合わせでin vitro実験(免疫細胞化学、ビオチン化実験、ERストレス等)を平行して行い、リソソーム系活性化に至る道筋を明らかにしたい。
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