研究課題/領域番号 |
22K06858
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48030:薬理学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
足立 直子 神戸大学, バイオシグナル総合研究センター, 助教 (70604510)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | パルミトイル化修飾 / 翻訳後修飾 / 一酸化窒素 / zDHHC / ニトロシル化修飾 / パルミトイル化 / ニトロシル化 |
研究開始時の研究の概要 |
パルミトイル化修飾は、タンパク質の局在や機能を制御する極めて重要な翻訳後脂質修飾であるが、生体内における本修飾制御機構には不明な点が多い。本研究では、一酸化窒素(NO)がパルミトイル化修飾の生理的な活性抑制因子であることを示し、NOの下流でタンパク質のパルミトイル化修飾が低下し、関連するシグナル伝達経路の応答が変化することを証明する。NO産生モデルとして敗血症マウスを使用し、パルミトイル化修飾の制御がどのように敗血症の進行に関与するかを検討する。最終目標として、NO関連疾患の発症機序への理解を深め、今後の新規治療薬・治療方法の開発への発展を目指す。
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研究実績の概要 |
パルミトイル化修飾は、タンパク質の局在や機能を制御する極めて重要な翻訳後修飾である。本研究では、一酸化窒素(NO)がパルミトイル化修飾酵素DHHCタンパク質の生理的な活性抑制因子であることを示す、つまり、NOの下流で基質タンパク質のパルミトイル化修飾が低下し、関連するシグナル伝達経路の応答が変化することを証明する。 本年度は、NOによるDHHC酵素の活性抑制を詳細に定量するために、新規DHHC酵素活性測定法を開発した。この手法は、活性化の指標である自己パルミトイル化DHHC酵素を簡便に短時間で、更に、低コストに検出する手法である。今回、本手法によりDHHC酵素の活性はNOによるS-ニトロシル化修飾のみならず、様々な翻訳後修飾により制御されることを発見した。また、ヒトでは23種あるDHHC酵素の活性状態には酵素間で大きな違いがあることが判明した。加えて、がん患者より同定されたDHHC酵素の変異をスクリーニングしたところ、自己パルミトイル化能が大きく低下し、不活性化された変異DHHC酵素を複数発見した。これらの酵素は発現量の低下ががんの増悪に関与することが報告されていることから、変異により活性化が消失することでがんの増悪に関与している可能性が示唆された。このように本手法により、パルミトイル化修飾酵素DHHCタンパク質の機能解析が大きく前進し、パルミトイル化修飾が関与する様々な病因の解明が期待できる。 この結果を踏まえて、最終年度である次年度は、NOによるDHHC酵素の制御を中心に、研究計画を進めて行く予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度、DHHC酵素の新規活性測定手法を開発したことにより、当初予定していた一酸化窒素によるDHHC酵素の制御機構のみならず、他の翻訳後修飾によるDHHC酵素の制御や、疾患関連変異DHHC酵素の解析など、多岐に渡って研究が進捗した。また、当初の研究計画についても、一酸化窒素による制御を定量的で詳細な解析が行えるようになり、大きく前進した。 DHHC酵素の新規活性測定法の開発については、本研究計画の関連業績として別個の論文として投稿を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、病態モデル動物を用いた解析を中心に行い、本研究によって明らかとなったDHHC酵素の制御メカニズムが病態にどのように寄与するのかを検討していく。具体的には、LPS投与により作製した炎症モデルマウスを用いて、マクロファージ細胞やNO産生酵素の一種であるiNOS産生臓器において、一酸化窒素によるDHHC酵素の活性抑制を証明する。
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