研究課題/領域番号 |
22K06865
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48030:薬理学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
肱岡 雅宣 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (50780061)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 脳内出血 / アルツハイマー病 / ケモカイン / 脳卒中 / 認知症 / 細胞間相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
脳内出血ならびにアルツハイマー型認知症モデルマウスを用いて、これらのモデルで共通して増加するケモカインを欠損させることで、病態形成仮定における当該ケモカインの機能を明らかにすることを目的とする。特に脳末梢連関に注目し、脳内の細胞を起点として末梢から浸潤する細胞の機能を明らかにしたい。加えて、それぞれの疾患における病態生理学的な機能を明らかにした後、両疾患を併発するような混合モデルを作成し、病理/病態が増悪するか、また、ケモカインの関与が見られるか調べる。
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研究実績の概要 |
脳内出血(ICH)およびアルツハイマー病(AD)はいずれも根治療法が確立されていない疾患である。本研究では両疾患で増加する走化性因子に注目した解析を行うためにサイトカイン/ケモカインを網羅的に探索した結果、ケモカインXが両疾患モデルマウスの脳内で著明に増加することを見出した。 まず、認知症モデルとしてアミロイドβ(Aβ)の蓄積およびグリオーシスを呈す前臨床性ADモデルマウスであるApp KIマウス(6ヶ月齢)を用いた解析に着手した。App KIマウスにおけるケモカインX産生細胞を同定すべく単一分子蛍光in situハイブリダイゼーション(smFISH)と免疫組織化学染色の共染色を実施したところ、Aβの蓄積部位に集簇するミクログリアでケモカインXの高発現が認められた。一方でAβが蓄積しない部位のミクログリアではケモカインXの発現が認められなかったことから、Aβに集簇するミクログリア特異的な遺伝子発現変化であることが示唆された。今後はAβ周囲のミクログリアの性状に焦点を当てて解析を進める。 また、ケモカインX欠損マウスに対してコラゲナーゼ投与により脳内出血惹起した結果、野生型マウスと比較してケモカインX欠損マウスでは運動機能障害の重篤度が軽減される傾向が見られた。今後は試行回数を増やすとともに病理組織解析についても進める。加えて、ADモデルマウスで行ったようにsmFISHを実施することでケモカインX産生細胞の同定を行い、空間特異的な変化を見出すべく解析を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ICH、ADいずれにおいてもケモカインXの病態生理学的意義解明を見出すに繋がるような知見を得ることができたため、概ね計画通りである。次年度は研究初年度で得られた知見をもとにケモカインX欠損マウスの病理解析へと展開することで、両疾患におけるケモカインXの病態生理学的機能を深堀りしていくとともに、計画最終年度に予定している混合モデルの開発に向けた予備検討も進める。
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今後の研究の推進方策 |
ADモデルマウス(App KIマウス)では初年度に見出した知見をもとにAβ蓄積部位に集簇したミクログリアの解析に注力する。手法としては空間的トランスクリプトーム解析による遺伝子発現パターンの解析を予定している。加えてケモカインXを欠損したApp KIマウスの病理解析および認知機能解析も行う。 ICHモデルマウスでもADモデルマウス同様にsmFISH等の手法を駆使して産生細胞の特定を行い、特徴的な発現パターンを見出した場合は空間的トランスクリプトーム解析も行いたい。さらに、初年度同様にケモカインX欠損マウスに脳内出血を惹起して行動解析、病理解析を進める。
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